2025/02/24 Mon
文化
インドの演劇


インドに来る前からインド映画や伝統舞踊、美術などに関心があったので、インドに来たらそういった文化に触れる機会をできるだけたくさん作ろうと思っていました。数えてみたらこれまでに映画館に74回、音楽・舞踊には25回行っています。美術展は何回か分かりませんが、大分行っています。
私はデリーに住んでいるからこういうことができるので、とても幸せです。映画館はたくさんあるし、音楽・舞踊はハビタットセンターで楽しめます。インドの文化は本当に素晴らしいです。やはり歴史のある国は違うなぁといつも思っています。
さて、今回は最近観た演劇について紹介します。映画と同様、ヒンディー語で話されるので、話の内容は分かりません。でも、役者さんの演技や舞台芸術を見たり感じたりすることができるし、観客の反応を見ることもできるので、意外と楽しめるものです。
まず、先月ハビタットセンターで行われた「カストゥルバ対ガンディー」です。これは私がインドで観た初めての演劇です。カストゥルバはガンディーの奥さんの名前。
14歳のカストゥルバは、親が決めたモハンダス・ガンディー(13歳)と結婚しました。いわゆる幼児婚です。ガンディーは、妻への独占欲から、妻を監視したり彼女の行動に干渉したりしたようです。気丈で強情っぱりなカストゥルバは夫に拘束されることに反発して自由な行動を求めました。ガンディー夫妻はしょっちゅう喧嘩して口をきかないことが多かったのだそうです。
当時のほとんどのインド女性がそうだったように、カストゥルバも教育を受けていませんでした。ガンディーはカストゥルバの教師を自認し、しつこく教えたようです。しかし、その試みはほとんど失敗に終わり、彼女は生涯、読み書きがほんの少しできる程度だったのだそうです。
劇では役者さんがカストゥルバを力強く演じていました。若い頃の場面、年取ってからの場面とありましたが、強い意志が感じられました。ヒンディー語が分かれば、もっともっと楽しめただろうと思います。
役者さんの話し方や演じ方は日本と変わりなく素晴らしかったし、お客さんも静かに観ていて、時折拍手をしたりするなどマナーが良かったです。映画館だと、しゃべったり、大きな声で電話で話したりするのでどうかなと思っていましたが、劇場ではそんなことはありませんでした。
席は2階席の前の方で200ルピー(360円)でした。こじんまりした劇場だったので、よく見えて十分満足できました。難を言えば、始まりが19時で終わりが21時だったので、アパートに着いたのが22時半くらいと遅くなったことくらいでしょうか。
カーテンコール。会場はスタンディングオベーションで拍手喝采でした。ホントに素晴らしい劇でした。観てよかった。
さて、次は、先週日曜日に観てきた「Mughal E Azam」(偉大なるムガル帝国)。調べてみると、これは1960年の同名の映画を劇場作品にしたものです。インド初のブロードウェイスタイルのミュージカルで、インド国内はもとより海外7か国でも公演を行っているそうです。
会場はネルースタジアムの劇場(Auditorium)。写真は1階会場の入り口ですが、高級感が漂っていました。私の席は2階席の一番後ろでしたが、1500ルピー(2700円)もしました。最前列はなんと1万ルピー(18000円)!!!
内容は、ムガル帝国アクバル皇帝にやっと生まれた息子サリムが、成長して美しい遊女と恋仲になりますが、それに反対した皇帝が遊女を投獄します。サリムは皇帝に反抗し、ムガル帝国は騒然となります。愛をとるか帝国の威信をとるか、というようなストーリーでした。
役者さんの衣装や30人のカタックダンス、そして生の歌声はどれも素晴らしかったです。歌は有名なものらしく、私の隣の人は一緒に小声で歌っていました。音楽は生演奏ではなかったけど、音質が良かったし、役者さんの声もよく聞こえました。英語字幕はステージの両サイドにありましたが、残念ながら私の席からはよく見えませんでした。
舞台装置は大きめの階段が置かれているだけでしたが、背景のスクリーンにいろいろな場面が映し出され、さらに前方に透かし幕のようなものが時折降りて来て演出効果を上げていました。照明の強さや当て方も素晴らしかったです。これまでに観た中で一番洗練されていました。
カーテンコール。役者さんが1人1人紹介され、ステージに上がってきました。会場はスタンディングオベーション。この時だけ撮影が許されました。私がこれまで行った音楽やダンスの撮影は自由な感じでしたが、今回は撮影禁止で観客はそれをよく守っていました。
2月も後半になり、インド滞在もあと5か月を切りました。あとどのくらい観に行けるか分かりませんが、できるだけ多く観に行きたいと思います。日本で観るインドのダンスなども素晴らしいですが、やはりホームの方が格段にいいです。演じる人たちが生き生きしているし、会場の反応も楽しいのです。残りの期間、インドの文化にどっぷりと浸りたいと思います。
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