2025/04/09 Wed
文化
インディア・インターナショナル・センター


以前紹介したハビタット・センターから歩いて5分くらいのところに、インディア・インターナショナル・センターがあります。ここでも伝統舞踊や伝統音楽のコンサートを無料で公演していて何回か行ったことがあるのですが、最近、ここを2回訪れたのでそのことについて書こうと思います。
まず、インディア・インターナショナル・センター(インド国際センター)についてですが、HPによると、「政治家、外交官、政策立案者、知識人、科学者、法学者、作家、芸術家、市民のメンバーが集まり、国際協力の精神で新しいアイデアや知識の交換を開始する場所」だと説明されています。
非政府組織で、その目的は「世界の異なるコミュニティ間の理解と友好を促進すること」だそうです。イベントのカレンダーを見ると、講義、セミナー、パネルディスカッション、国際会議、国内会議から、音楽、映画、舞台芸術、視覚芸術、クラシック、民俗芸術など、幅広いジャンルのイベントが開催されています。
私は、ハビタット・センターとインターナショナル・センターのイベントカレンダーを調べて、気に入った舞踊や音楽、演劇などを観に行っています。アパートから片道1時間半かかるのと、イベントの開始が19時で帰りが遅くなるのとで、頻繁には行けませんが、先日、日本人が津軽三味線を演奏するというので、聞きに行きました。
津軽三味線を聞きに来るインド人がどれだけいるんだろうと思って来てみましたが、会場は7割方埋まり、日本人は数人だけでほとんどがインド人でした。津軽三味線の演奏にインドの人はどんな反応をするか興味があったので、ちらちら横を見ながら聴いていましたが、みなさん静かに聴き入っていました。
演奏者が日本語で曲の説明をすると、ある程度分かる人もいたようなので、日本語学習者が多く聞きに来ていたのかもしれません。日本語を勉強しているインド人は物静かで謙虚な人が多いから、もしかしてそのせいで静かだったのかな。
津軽三味線の演奏は本当に素晴らしかったです。奏者は津軽三味線の国際大会で3回優勝した人だそうです。特に津軽じょんから節は、撥を強くたたき速いテンポでとても迫力がありました。力強く、繊細さもある演奏。改めて日本の文化は素晴らしいと思いました。
また、演奏の最後に奏者が津軽三味線を捧げ持ち一礼したのですが、これはとても日本人らしいと思いました。人も物も大切にする日本の文化が表現されていたように感じました。こういった日本文化の紹介が日印両国の友好関係に大きく貢献するのだと思います。ぜひこれからも続けていってもらいたいものです。
別の日に行ったカタック・ダンス。男性のソロで、素晴らしいパフォーマンスでした。写真は、踊り手と演奏者が目と目を合わせてリズムを取っているところ。一緒にやっているのが楽しくてしょうがないという表情です。
歌い手も踊り手を見ながら、声の大きさや調子を変えたりします。お互いの動きや気持ちを感じ取りながら一つの世界を作り上げる。インドの芸術は本当に素晴らしいと思います。インドの音楽や踊りを見ていると、演じている人が本当に楽しそうな幸せそうな表情をします。それを見ているこっちまで楽しい気分になります。
ウィキペディアには「流浪の語り部たちは、ダンス、歌、音楽を通じて、叙事詩と古代神話の物語を伝えてきた。カタックダンサーは、手の動きと広範なフットワークによってさまざまな物語を語るが、最も重要なのは顔の表情である。」とあります。やっぱり表情が大事なんです。
カタック・ダンスは、ステップを踏んで足首に巻き付けた鈴(グングル)を鳴らしたり、くるくると早く回ってピタっと止まってポーズを決めたりします。ポーズが決まるたびに会場から拍手が湧きおこります。このダンサーはとても表情豊かで素晴らしかったです。
カタックは、南インドのバラタナティアム、東インドのオリッシーとともにインドを代表する伝統舞踊です。バラナシやラクナウなど北インドを中心に広まり、ムガル帝国の時代に宮廷に受け入れられ、そこで回転するイスラム教の踊り(スーフィー)を取り入れたのだそうです。
ところがイギリスに支配されてから衰退します。理由は、宣教師がヒンドゥー教を批判したことと、性を抑圧するビクトリア朝の道徳に反するからということのようです。多くの人がカタックダンスを売春への入り口として非難し、宣教師はヨーロッパの伝説やキリスト教の物語を広めることを提案したそうです。
日本も韓国併合で朝鮮の人たちに神道を押し付けたから、イギリス人だけを批判するのは当たりませんが、侵略することにより文化的にも上に立ったと勘違いしてしまうのでしょう。
イギリスからの独立後、文化を取り戻し歴史を再発見する努力が行われ、カタックは復興します。カタックはヒンドゥー教徒にもイスラム教徒にも踊られてきました。歴史的に言って、ヒンドゥーから生まれた踊りにイスラムの影響が入っているので、カタックは「ヒンドゥーとイスラム文化の融合」と捉えることができます。とてもインドらしい踊りなのです。
カタックの次に行われたバラタナティアム。女性によるソロで、こちらも素晴らしかったです。イベントカレンダーをチェックして、これからも時々、音楽や舞踊を楽しみたいと思います。
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