JICA海外協力隊の世界日記

デリー下町生活

ガンディーについて 1

 マハトマ・ガンディー 。インドに来たのだからこの人について書かないわけにはいきません。これまで、あまり積極的に書こうという気にはなれませんでした。たぶん、日本でアンベードカルの本を読んで、ガンディーにあまりよい印象をもっていなかったためかもしれません。

 でも、このまま何も書かないで日本に帰るのはダメだろうと思ったので、本を読んだり、ネットでガンディーについて調べたりして、ガンディーを知ろうとしてみました。なんのことはない、自分がガンディーについて知らなかっただけなのでした。

 また、デリーにあるガンディーゆかりの施設を訪ねてみました。国立ガンディー博物館、ガンディーが荼毘に付されたラージ・ガート、そしてガンディーが最後の約5か月間を過ごした旧ビルラー邸、ガンディー記念博物館です。

 上の写真は、最初に行った国立ガンディー博物館のもの。ガンディー関係の施設はどこも無料になっています。アーメダバードのガンディー・アシュラムも無料でした。国民の父ガンディーをどうぞ見てくださいということだろうと思います。もっともお金を取ったらガンディーが怒るでしょうね。何も持たない人だったから。

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 ガンディーはグジャラート州の港町ポールバンダルで生まれました。父は藩王国の宰相で、ガンディーは4男1女の末っ子でした。カーストはヴァイシャ。4つのカーストの3番目で、ブラーマン、クシャトリアの次の商人階級です。

 本名はモーハンダース・カラムチャンド・ガンディー。ガンディーのサインはMKGandhiと書かれます。人々からはマハトマと呼ばれましたが、これは偉大な魂という意味で、タゴールから贈られたとされるガンディーの尊称です。

 しかし、ガンディーは自伝の中で「私はこの称号には一度ならず酷く苦しい思いをさせられており、一瞬たりともそれを耳にして嬉しくなったことは記憶にない。」と書いています。

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 この人の清廉潔白さと思慮深さは世界中に響き渡っていますが、小さい頃は全くそうではなく普通の子どもでした。九九の暗記が苦手な恥ずかしがり屋の子どもで、友達にそそのかされてヒンドゥー教で禁じられている肉食やタバコに手を出したこともあったそうです。

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 ガンディーは13歳の時、同じ歳のカストゥルバと結婚しました。インドの慣習だった幼児婚です。自伝の中で「私にとって結婚の意味は、晴れ着を着用することや太鼓の響き、結婚式の行列やご馳走、見知らぬ女の子の遊び相手が見つかるといったことで、それ以上のなにものでもなかったように思う。情欲を感じるようになったのは後日のことである。」と書いています。 

 ガンディーは「私は妻を熱愛していた。学校にいるときでさえ、妻を思い浮かべるのである。夜の訪れや妻と顔を見合わせることが念頭から去らなかったし、妻と離れているのは耐えられないことだった。」と書いているように妻に執着しました。

 ガンディーは妻との間に5人の子をもうけましたが、そのことについてはまた後で書こうと思います。ガンディーは、35歳までの青年期に自身の情欲と嫉妬心に悩まされて、36歳から禁欲生活を始めましたが、ウィキペディアによれば、それは次のような経験が影響を与えているといいます。

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 ガンディーが16歳の時に、父が末期の病気にかかりました。ガンディーは、父の臨床の場において精力的に看病に励んでいましたが、ある夜、叔父が来て看病を交代してくれるよう言ってくれました。ガンディーはそれを快く引き受け、感謝の意を表し、寝室へと戻りました。

 そこで、ガンディーは、部屋で寝ていた妻を起こしてセックスをしたというのです。その後、下僕がやって来て父の死を告げました。このため、ガンディーは、父の死に目に会えなかったのです。ガンディーはこのことをずっと後悔します。

 ドイツの心理学者エリクソンは、ガンディーの禁欲主義的傾向や、特に36歳の時、結婚したまま一切の性行為を断って禁欲を開始するなどのブラフマチャリヤの誓いを果たしたことには、この経験が大きく関係していると指摘しました。

 ガンディーは自分に厳しい人だったから、ずっと自身の情欲と執着心を乗り越えようとしたのでしょう。「私の南アフリカでの孤立した生活には、性生活を厳しく規制することや、人間関係において非暴力と誠実を厳格に実践することが求められた。」

 「私は普通以下の才能の、平凡な男に過ぎない。また、そのような非暴力や禁欲には苦心の探求の末に到達したものなので、私に特別な手柄があったわけでもない。」と書いています。

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 国立ガンディー博物館ではガンディーの声を聞くことができます。この受話器を取るとガンディーの肉声が聞こえてくるのです。他にもガンディーの心臓の鼓動が見える心電図があったりしてガンディーを身近に感じることができます。

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