JICA海外協力隊の世界日記

赤い土に暮らして

カンニングとの闘い

学校隊員としての活動で一番苦手なのは試験監督だ。


カンニングは不正であり、しないのが当たり前と捉えて何も対策をせずに臨むと収拾のつかないことになる。漫画やドラマの世界のように、丸められた紙が宙を舞い、私が背を向けたとたんに解答用紙のすり替えが行われる。と、これは赴任当初の昨年の話。私がカンニングを容認しないというスタンスをはっきりとさせたため、今年はいくらか改善されている。

昨年、度々注意しても聞かない生徒の解答を無効にし退席させたことがある。その後、生徒はひどく泣きついてきた。まだ赴任したてでモザンビークの慣習になじめきれていない私は、自分の非を反省もせず泣きつくとはなんて理不尽なんだと感じたことを覚えている。だがわたしは厳しすぎるのであろう、その後クラスの生徒はよそよそしくなり、そのまま卒業してしまった。

カンニングを見つけた場合、わたしの日本的な前提を押し付け声を荒げ、退席させるのは簡単だ。でもカンニングをさせない環境を作り、テストと向き合わせたほうが生徒の成長には繋がるのではないか。テストと向き合わせる環境を作ることが、教師の仕事だと考えるようになった。

(テスト中に写真はとれないため、この写真は通常授業の様子)

日本ではカンニングは「しないのが普通」だった。でもここモザンビークでは「するのが普通」だ。もちろん生徒は、カンニングがダメなことは理解している。しかしそれ以上に、助け合い(?と思われる)意識のほうが強いと感じる。不正をさせない環境を整えるために、わたしが実践していることは、

・テスト開始前にわたしは不正を一切容認しないと公言
・机の間隔を整える
・携帯やその他不要なものは教卓に置くよう指示
・持ち込み可能な白紙に書き込みがないか確認&私の署名をしその他の紙を取り出せないようにする
・怪しいと思われる行動が見られた場合、席を移動させる
・明らかなカンニングは解答用紙を白紙のものと取り換え
・持ち込み可能な白紙の紙に怪しい書き込み(隣席に見せるためなど)を見つけた場合、取り上げる

など。


生徒は指示には素直に応じてくれ、反抗的な態度はとらない。席は素直に移動するし、解答用紙を白紙のものと取り換え初めからするように指示すればその通りにする。「何故こんなにカンニングをするんだ!」と、はじめはその現実に腹を立ててばかりいたが、今はわたし自身もその問題と向き合えていると思う。
わたしが何度も席の移動を指示するので、テスト中、落胆の声はもちろん笑い声も起こる。私のスタンスをきちんと示すことが、生徒とともに良いテスト環境を作ることに繋がっていると感じている。

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