2019/05/22 Wed
活動
助産師JOCVがラオスの村へ行く!
普段はそれぞれの任地で遠く離れて活動する助産師隊員ですが、南野結香JV、深津奏瑛JVと一緒に5月14.15日にパークグム郡にて村落巡回を行いました。
パークグム郡では、郡病院までのアクセスが悪く病院に来られない妊婦さんや、妊婦健診が無料で行われていることを知らず、妊婦健診の受診がずいぶん遅い妊婦さんもいます。また、食事に関しては、それぞれの栄養素を理解している人も少なく、「カオニャオ(もち米)をたくさん食べると元気になる!」と、たくさんのもち米と、それにラオス特有のジェオと呼ばれる塩味のあるソースをつけて食べたりと、食生活に偏りがあるように感じます。昼ごはんには、大人気のラオスの麺「カオピアック」(ラオス風うどんといわれている麺。これも、もち米からできた麺)を食べるのが定番です。妊婦健診で妊婦貧血なども多いのも問題です。妊婦さんの貧血は出産時に出血が多くなることにもつながるので、妊娠中からの予防は大切です。
昨年度、一緒に働くラオス人スタッフと、今の母子手帳がもっと使いやすくなるにはどうしたらいいか、現場レベルでの意見を保健省に提出するなど、母子手帳の改善に関わらせてもらいました。その意見もすこし反映してもらえ、現在、ラオスの母子手帳は、バージョンアップし、新たに写真や絵がたくさん入り、他民族でラオス文字の読めない人にも分かりやすくなり、文化的配慮なども含んだ教材としても使える母子手帳に代わる予定です。
そのような背景から、今回病院を飛び出し、村へJOCV合同でアウトリーチ活動へ行こう!!!と考えました。目的としては、①住民が母子手帳の使用方法や大切さを知ってもらう②妊婦さんと乳幼児に栄養についての正しい知識を持ってもらう③医療施設までアクセスの悪い住民が妊婦健診や乳児検診を受けられるという3つです。
住民に向けて楽しみながら学べるワークショップと妊婦さんと乳幼児の健診を、現地ラオ人スタッフの協力を得ながら行いました。
ワークショップの一つ「ラオスの国民食カオピアックで栄養を考えよう!」では栄養たっぷりに作ったカオピアックを、参加者に食べてもらい、6大栄養素について食材を分類分けしてもらうゲームをしました。
下の写真がワークショップの様子です。会場に使った村役場の隣に小学校があり、ワークショップをききつけ、学校の先生が小学生を10名ほど参加させてくれました。
私たちだけでなく、先生も栄養素について子供に教えてくれました。
また、もう一つ私たちの伝えたかったこと。
妊娠・出産は幸せなことでもあるが、一方で命を奪う危険もあるという事実を伝えたくて、迫真の寸劇を行いました。
妊婦さんのお腹が張る症状や少しの出血など、「大したことはないだろう…」と様子をみてしまうことが見受けられることが多い現状ですが、少しでも早く病院に来てもらうことで、大事になる前に、救える場合もあります。
お母さんの症状があったときのお腹の様子を、赤ちゃんはどんな様子か?と体を張って説明してみました。
南野JVベイビーの「苦しいよ~~~」と訴える迫真の演技に、会場は笑いがでて…ほっ。
私たちの今回のワークショップのモットーは「楽しく学ぶ」でした。
まして、外国人の私たちの言葉は通じにくく、みんなに聞いてもらうためにはどうしたらいいだろうと編み出したのが寸劇でした。
妊婦さんに病院に来てほしい異常な症状や、病院の受診方法、母子手帳の取り扱いや受診の料金についても伝えました。
私の郡では、公費負担により妊婦健診とエコーは郡内の村民であれば無料になっていますが、知らないという人もいます。少しでも正しい情報が村民に伝わる機会になっていたらいいなと感じます。
今回の巡回は2日間で2つの村を回りました。ラオスは50民族が住んでいるといわれており、独特の言葉や文字をもつ民族もいます。
2日目の巡回は、急遽予定変更になり、モン族といわれる民族の集落にいきました。私たちは活動でラオス語(ラオスで一般的に使われる言葉)を使用しており、モン語を使うモン族の方々に自分たちの説明が伝わるか、かなり不安でした…。そして、当日、案の定…簡単な言葉は通じるが、長文や難しい説明に対しては村民のかたは「…????」
はっ…まずい…どうしようとJOCVの戸惑い…
しかし、ラオ語もモン語も話せる村長さんがすかさず、私たちのラオ語を同時通訳してくれ、無事にワークショップの実施や健診の実施ができました。
活動も残り一か月ほどになりました。
活動の時期が過ぎれば過ぎるほど、周囲に支えてもらうことが多く、一人では活動できないなと思うことばかりです。
また、赴任してから感じていた収集のつかなかった色々な思いが、少しづつではありますが、バラバラだった点と点から一部分だけでも線になっていくような嬉しさも感じられるようになってきたように思います。
今回も、一緒に企画・実施・遠方から来てくれたアイデア豊富な助産師隊員同期と、また下準備や調整など行ってくれた職場のラオス人スタッフ、臨機応変な対応の村長さん、いつも細やかなところまでケアしてくれるJICA事務所調整員さん。感謝です。
今回の巡回を通して、自身や家族の健康について考え、正しい知識・情報から自ら健康を守るための行動に繋がることを願います。
SHARE