JICA海外協力隊の世界日記

カリブ海の小国・セントルシアでの防災活動日記

セントルシアの自然災害(火山編)

東カリブ地域(小アンティル諸島)で考えられる地震・火山・津波を紹介します。セントルシアを中心にしますが、東カリブ地域でほぼ共通します。今回は火山で、次回は地震・津波の予定です。写真は、セントルシアの観光地スフレにあるサルファー・スプリングです。

東カリブの中心国家・トリニダード・トバゴにある西インド大学地震研究センター(UWI Seismic Earthquake Research Centre)によると、東カリブ地域には21の活火山があり、そのうちの11つが現在も活発です(数は資料によってマチマチです)。Screenshot-2023-07-06-142751.jpg

地図:GoogleMapsに地名・火山を追記

カリブでは、スフリエール(フランス語で硫黄)という火山名(地名)が付いていることが多いので、スフリエールと聞いた場合、どのスフリエールか確認が必要です。セントルシアのシンボル「ピトン山」がある南部のスフレ(これもスフリエール)には、カリボウ(Qualibou)という火山カルデラがあり、中心付近にサルファー・スプリングという箱根の大涌谷や登別の地獄谷のようにグツグツ煮えたぎっている火口があります。これは完新世(12,000年前~現在)の火山で、最後の噴火は1766年です。噴火の可能性は非常に低いと考えられておりますが、まだ残っており、仮に噴火した場合にはセントルシアの中部~南部が壊滅的被害を受けることが予想されています。近隣の島々も火山噴火の可能性があり、カリブ諸国が連携して避難者を受け入れるなどの協定があります。

サルファー・スプリングの様子(私がスフレに行くと、いつも雨)

セントルシア北隣のマルティニーク島(フランス海外県)にはモンペレー山という火山があり、1902年に噴火しています。この噴火は「プレー式噴火」と言い、「火砕流」という現象が初めて名付けられました。この火山災害は犠牲者数約30,000人と20世紀最大で、イタリア・ポンペイのように1つの街が全滅した悲劇で有名です。また、津波も発生させた複合災害であり、セントルシアもこの影響を受ける可能性があります。このモンペレー火山噴火と同時にセントルシア南隣の島国・セントビンセント・グレナディーンのスフリエール火山も噴火しており、こちらでも「スフリエール式」という専門用語になる火砕流が発生し、甚大な被害をもたらしています。このスフリエール火山は最近も活発で2021年にも噴火しており、バルバドスにまで大量の火山灰をもたらしています。「火山灰がどこに降るか」は、その時の風向きによりますので、セントルシアも影響を受ける可能性があります。

2021年セントビンセントのスフリエール火山の噴火ニュース

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