JICA海外協力隊の世界日記

カリブ海の小国・セントルシアでの防災活動日記

セントルシアの自然災害(地震・津波編)

地図:GoogleMapsに地名・火山・地震を追記

前回の続きです。今回は地震と津波です。地図中の○は、小さい方がマグニチュード6、大きい方がマグニチュード7以上です。

セントルシア周辺では100年に2-3回程度、マグニチュード7クラスの地震があるようです。首都カストリーズの中心部が壊滅した(1839年)ほどなので、かなり強く揺れたのだと思われます。1953年の地震の際は、当時のカストリーズの新しい建物は耐えたそうです。1990年代に地震が頻発して被害が出ていますが、それ以降は大きな地震は起きてません。

私が赴任してから6回の有感地震があったようですが、揺れに気付いたのは2回だけでした(気のせいかな?という程度でした)。地震があった場合、どのような規模であっても国民に知らせることになっています(2回しか聞いてないような・・・)。セントルシアの地震や火山の観測は、トリニダード・トバゴにある西インド諸島大学(UWI)が遠隔で行っており、異常があった場合は連絡することになっています。

カリブ海地域で発生した地震

津波は、大きなものはセントルシアの記録にありませんが、1m前後はいくつかあります。しかし、他のカリブの島では大きな津波の記録がありますので、セントルシアでも同程度の津波はありえると考えた方がいいでしょう(カリブは歴史が短いので、まだまだあったはずです)。セントルシアの主要な街は海抜10mもないところにあるので、津波があった場合の被害は計り知れません。

【参考】

1755年リスボン地震(ポルトガル)

カリブ海で平均23m程度、マルティニーク島(フランス海外県)で7m

1867年ヴァージン諸島地震(アメリカ領)

ヴァージン諸島で最大18m、グアダループ島(フランス海外県)で10m

ちなみに、前回書いた北隣の島・マルティニーク島のモンペレー山の噴火時には火山泥流が海に流入した際に津波が発生しており、津波シナリオの1つとしてセントルシアもモンペレー・ケースを挙げています。この場合、20-30分以内に津波が到達すると考えられています。他には、Kick 'em Jennyという水中火山がグレナダ沖にあり、噴火によって津波を発生させています。この火山は5年に1回の頻度で噴火しているのですが、深いところにあるので、いまのところ影響は大きくありません(火山が成長して水面に近づくと影響が大きくなる)。

Kick 'em Jenny火山

いずれにしても、セントルシア近辺で巨大地震が起きる可能性は否定できないので、津波は地震発生直後に来ると考えた方がいいでしょう。津波に対しては、カリブや大西洋沿岸諸国も含めたCARIBE WAVEという演習(ユネスコ主催)を毎年1回行っており、これに合わせてセントルシア国内でも演習を行っています(私も手伝いました)。津波警報は、世界的な津波を予測・監督するNOAA(アメリカ海洋大気庁)の太平洋津波警報センターが出すことになっており、緊急時は関係各国に連絡することになっています。

災害に対しては、” Never say Never” 。つまり、「ないと決めつけない」ことが大事です。例えば、地震や火山がないところでも隕石の落下、土砂崩れや海底地すべりによって津波は発生します。陸地でも、湖やダムがあるので「津波的」な現象は起こりえます。

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