JICA海外協力隊の世界日記

カリブ海の小国・セントルシアでの防災活動日記

セントルシアの自然災害(洪水編) -災害編の最後-

雨宿りする職場の犬(野良) 参照→ https://world-diary.jica.go.jp/otayuzo/activity/post_5.php

災害編の最後で本番です。セントルシアにおける災害被害の9割以上は暴風雨によるもので、頻繁に発生する洪水が問題となっています。人々も洪水対策が足りていないと不満にしています。ハリケーンシーズン前や大雨後に側溝や川の清掃をやっているので、以外としっかりとしてるんじゃないか?と学生達に言ったら、NoNo!とみんなから大声でお叱りを受けてしまいました。申し訳ありません。さて、洪水は、小さなものを除いて、火山活動でできた不規則な凸凹地形が素因となっており、そこに大雨が引き金となって発生しています。地形の話は、前々回を参照してください。

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漁村 Laborie Villageの洪水 水路が溢れて道路が川に。

洪水は頻繁に発生します。側溝が溢れて道路が冠水するくらいの洪水は、本当によくあります。「海に向かっているのに、上り坂になっている」ということがよくあり、こういった場所は窪地になっているので、すぐに冠水します。雨期(6-11月)になると降水量が増え、特定の地域で洪水が多くなります。この原因の1つとして、先ほどの不規則な凹凸地形が挙げられます。海側に山があるため最短で海に出られず迷走している川はありますし、湿地も多いです。一部の集落は、このような湿地に幅数m程度の水路を作って乾燥化させた上にできています。しかし、水路幅は狭く、もともと川とも言うべき土地なので、大雨が降るとすぐに洪水になります。日本では許可されないような低地に集落があり、学校のように広い敷地が必要な施設ほど、そのような低地にあります。やむを得ずそうなってしまったのでしょうが、それくらい適地がないのでしょう。

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冠水したカストリーズ(隊員提供)

首都カストリーズを含め、都市部は「はっきりとした河川」のない平野部を選んだか、川を平野(扇状地の方が近いかも)の端に追い込んで発展してきたようです。しかし、海抜数mしかない低地なので、大雨が降れば水が抜けずに冠水します。既に建物が密集した街ができているので、対策工事は難しいと思われます。また、以前の地震・津波編で書いたように、都市部は地震・津波のリスクも大きいので、災害に対して特に脆弱な状況です。

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