JICA海外協力隊の世界日記

カリブ海の小国・セントルシアでの防災活動日記

私の活動紹介⑤ セントルシア洪水災害委員会と国際防災会議CDM12(in バルバドス)

CDM12会議での講演の様子(オンライン視聴者提供) 隊員はなかなか自分の写真を撮れない・・・

私にとって初めての異国での災害でしたが、最大雨量157mm/3時間にしてはあまりに酷い洪水であり、何か原因があるのだろうと感じていました。そこで今回の洪水をできる範囲で分析しました。分かったことは、

・火山活動でできた複雑な凸凹地形

・元々は小さい川が流れる原野の湿地

・約30年前に造成・現在は大きな集落

・幹線道路より低い位置に集落

・集落の標高がわずか数m

・大きく蛇行する川・橋が狭窄部(川幅が極端に狭くなる)

・道路排水もすべて川の狭窄部へ集中

などの条件に大雨が重なったためと考えられました。通常、大雨が降ると、流木などが大量に流されてきます。こちらの橋は狭く低いので、簡単に塞がります。一度、塞がったら集落が水没してハイウェイが川になることは、これらの条件から明らかでした(橋が大きかったとしても、塞がって洪水になったと思います)。

この分析結果は洪水発生から2週間後にインフラ省で開催された洪水災害専門委員会で発表しました(一人で行ったので写真がありません)。省の傘下機関はもちろん、関係省庁の大臣や局長などのトップも横断的に交えた20-30人の大きな会議でした。その場の反応は上々でした

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CDM12会議で洪水の要因を説明するを喋る自分(オンライン視聴者提供)

今度は、ちょうどカリブでこの災害の話題性があったこともあり、隣国バルバドスで2年に1回開催されるカリブ最大の防災会議CDM1212th The Caribbean Conference on Comprehensive Disaster Management)でこれを局長(上司)と私で講演する機会を得ました。大変立派な会場で、格式の高い会議でした。他の講演者はカリブや欧米の大学教授などでしたが、見劣りすることはなかったと思います。私も含めた講演者は↓のとおりです。

https://cdm12.vfairs.com/en/speakers-page

ここでは、この災害の原因・反省点・課題に加えて、カリブ諸国で団結して取り組むべき課題を提案し、他国から協力要請を承けるなどの評価を得ることができました。ちなみに、カリブ全体で取り組むべき課題として提案した内容は、災害が発生しそうな状況になったときに、人工衛星サービスをそれぞれの国が申請するのではなく、まとまって連携することです。小さな島国が並んでいるので、仮にある国に当たる予想から外れても、他の国に当たるはずなので無駄にならないからです。その後は、このような枠組みを作る方向で動いていると聞いています。

最後に今回の災害を総括する会議(AARAfter Action Report)が年末に配属先の職場で行われ、私からはこれまでの過程と成果を発表し、セントルシア国内で内容を共有しました。これで一段落です。このように災害発生からの2ヶ月間は、怒濤の展開でした。

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職場でのAARの様子

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