2016/05/24 Tue
ペルー
国境なき鳥たち。
みなさんこんにちは。
日本は新緑の美しいさわやかな季節になっているころでしょうか。
私の任地パラカスは、
夏の強い日差しが弱まり、夜は肌寒い季節になりました。
また、鳥たちも北半球の夏に向けて、パラカスを飛び立っていきました。
ちょうど今月(5月)10日は、「世界渡り鳥の日」でもあったので、
今回は、「渡り鳥」について紹介したいと思います。
そもそも、渡り鳥とは?
「繁殖や生活の都合で、季節によって住む場所を変える鳥たちの総称」
日本でも「ツバメ」などが、その渡り鳥にあたります。彼らは東南アジアなどで冬を越し、春になると子育てのために日本へ戻ってきます。
任地パラカスでも、シギやチドリなどの渡り鳥がみられます。 11~3月頃まで、彼らはパラカス付近の豊富なエサ場で栄養補給をし、次の渡りに備えます。 そして4~5月頃、営巣するために北米へと渡っていきます。 これが彼らの一年のサイクルであり、毎年毎年渡りを繰り返しています。
しかし、単純に考えて、ものすごい距離を飛んでいると思いませんか?
南米から北米までの距離は、約10,000km。
それを一年に往復するので、約20,000km。
そして、中には体長12cmという、スズメより小さな身体で、この渡りをするツワモノもいます。
毎日飛んで、飛んで、飛んで。
おなかいっぱいエサを食べて、休んで。
そして、また長い旅をして家に帰る。
しかも、こんなに小さな体で。
なんだかこの健気な生き方に、私は魅かれてしまいました。
とっても愛くるしいなと。
でも、そんな彼らも、平穏な毎日がいつまでも続くわけではありません。
例えば、長い旅の途中で休憩場所が見つからない!なんて事態が起こります。
彼らにとって、いつも休んでいた海岸が、ある日いつの間にかホテルになっていたり、 ゴルフ場になっていたり。
別の場所を探しても見つからない・・・
そう、各国各地で行われる観光開発が、彼らから休憩場所や家を奪っているのです。これでは、十分な栄養補給や体力回復ができず、目的地につく前に力尽きてしまいますよね。
渡り鳥はとくに、たくさんの休憩場所を必要とする生き物です。
その場所は、ペルーにもあれば、エクアドルにも、コスタリカにも、メキシコにも、アメリカにも。つまり、世界各国に休憩地は存在するのです。
しかし、もしこのうち一国(1ヵ所)の休憩場所がなくなってしまったら、どうなるでしょうか。
そう、渡りが続けられなくなり、やがては死んでしまいます。
国境を飛び越える彼らを守るためには、国を超えた取り極めや組織が必要なのです。
今まで、ぶつかり合ってきた国同士が、こうした一つの小さな命を守りつないでいくために、手を取りあう。とても素敵なことだと思います。
まるで、渡り鳥が国と国とをつないでいるようですね。
世界をつなぐ渡り鳥が、この愛くるしい彼らが、 はるばる遠くから、
パラカス自然保護区を目指してやってきます。
彼らの家である、この場所を大事に見守っていきたいと思います。
おざき
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