JICA海外協力隊の世界日記

ペルー国立自然保護区での2年間

国境なき鳥たち。

みなさんこんにちは。

日本は新緑の美しいさわやかな季節になっているころでしょうか。

私の任地パラカスは、

夏の強い日差しが弱まり、夜は肌寒い季節になりました。

また、鳥たちも北半球の夏に向けて、パラカスを飛び立っていきました。

ちょうど今月(5月)10日は、「世界渡り鳥の日」でもあったので、

今回は、「渡り鳥」について紹介したいと思います。

そもそも、渡り鳥とは?

「繁殖や生活の都合で、季節によって住む場所を変える鳥たちの総称」

日本でも「ツバメ」などが、その渡り鳥にあたります。彼らは東南アジアなどで冬を越し、春になると子育てのために日本へ戻ってきます。

任地パラカスでも、シギやチドリなどの渡り鳥がみられます。 11~3月頃まで、彼らはパラカス付近の豊富なエサ場で栄養補給をし、次の渡りに備えます。 そして4~5月頃、営巣するために北米へと渡っていきます。 これが彼らの一年のサイクルであり、毎年毎年渡りを繰り返しています。

しかし、単純に考えて、ものすごい距離を飛んでいると思いませんか?

南米から北米までの距離は、約10,000km。

それを一年に往復するので、約20,000km。

そして、中には体長12cmという、スズメより小さな身体で、この渡りをするツワモノもいます。

毎日飛んで、飛んで、飛んで。

おなかいっぱいエサを食べて、休んで。

そして、また長い旅をして家に帰る。

しかも、こんなに小さな体で。

なんだかこの健気な生き方に、私は魅かれてしまいました。

とっても愛くるしいなと。

でも、そんな彼らも、平穏な毎日がいつまでも続くわけではありません。

例えば、長い旅の途中で休憩場所が見つからない!なんて事態が起こります。

彼らにとって、いつも休んでいた海岸が、ある日いつの間にかホテルになっていたり、 ゴルフ場になっていたり。

別の場所を探しても見つからない・・・

そう、各国各地で行われる観光開発が、彼らから休憩場所や家を奪っているのです。これでは、十分な栄養補給や体力回復ができず、目的地につく前に力尽きてしまいますよね。

渡り鳥はとくに、たくさんの休憩場所を必要とする生き物です。

その場所は、ペルーにもあれば、エクアドルにも、コスタリカにも、メキシコにも、アメリカにも。つまり、世界各国に休憩地は存在するのです。

しかし、もしこのうち一国(1ヵ所)の休憩場所がなくなってしまったら、どうなるでしょうか。

そう、渡りが続けられなくなり、やがては死んでしまいます。

国境を飛び越える彼らを守るためには、国を超えた取り極めや組織が必要なのです。

今まで、ぶつかり合ってきた国同士が、こうした一つの小さな命を守りつないでいくために、手を取りあう。とても素敵なことだと思います。

まるで、渡り鳥が国と国とをつないでいるようですね。

世界をつなぐ渡り鳥が、この愛くるしい彼らが、 はるばる遠くから、

パラカス自然保護区を目指してやってきます。

彼らの家である、この場所を大事に見守っていきたいと思います。

おざき

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