JICA海外協力隊の世界日記

ゆっくりのんびり、一歩ずつ

村の看護師さん(パンナギス村)

こんにちは。

今回から一緒にバヌアツで活躍されている隊員さんの活動や生活を紹介していきます。

今回は看護師隊員さんの活動を紹介していきます。

(※ご本人のご協力を頂いて、掲載させていただいております。)

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名前:河原柚香さん

職種:看護師

任地:バヌアツ共和国 エファテ島 パンナギス村

配属先:サウピアヘルスセンター

【配属先】

任地は首都があるエファテ島の北の端にある村にある小さなヘルスセンター。

バヌアツの医療機関は、ビラ中央病院を筆頭に、州立病院、ヘルスセンター、ディスペンサリー、エイドポストがあります。

エファテ島には州立病院がないため、ビラ中央病院に次ぐ医療機関という位置づけです。

ヘルスセンターには看護師、助産師、看護助手、クリーナー、ドライバーが働いており、外来診療(一般外来、乳幼児健診・予防接種、妊婦健診、家族計画)、分娩、学校保健業務(予防接種、駆虫薬の配布、学校健診、健康教育)、アウトリーチ業務(各村への訪問診療)などの役割を担っています。

医師や薬剤師はおらず、看護師が診断から処方、分娩や縫合に至るまで様々な医療処置を行います。

私の配属先は、エファテ島北部(14の村)と近隣の5つの島を管轄しており、総人口は5000人以上と言われています。

【活動内容】

診療時間は8:00-12:00, 13:00-17:00で、夜間・休日はオンコール体制をとっています。

私を含め、同僚はみんな敷地内の住居に住んでおり、

オンコールの時は、患者さんが担当の看護師の家に行って来たことを知らせます。

私はオンコール対応はしないという約束のもと、平日の診療時間のみ活動しています。

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私の活動要請は、日常業務の補助、生活習慣病予防などの知識の普及、ワクチン管理、学校保健の推進、地域への健康知識の普及、生活習慣病のデータ収集と解析とされています。

協力隊に参加する前は、内科の病棟で勤務していたため、生活習慣病が専門となるのですが、マンパワー不足のため、全く専門外の乳幼児健診を任され、毎日たくさんの赤ちゃんと向き合っています。

手が空いた時間は診察に入り、生活習慣病の患者さんのフォローアップや患者教育を行ったり、傷の処置をしたりなんかもしています。

午後になると患者さんは少なくなるため、午後はデータをまとめたりといった書類整理や、在庫管理なんかもしています。

毎週水曜日の午後には同僚たちと生活習慣病予防のためにズンバを踊って配属先スタッフの健康管理も行っています。

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アウトリーチは1年以上行われていなかったのですが(理由は諸説あります笑)、
必要性を伝え続けた結果なのか、やっとこの2月から急に再開し、今では毎週火~木に行っています。

【現状と課題】
バヌアツでも看護師不足が問題になっていて、環境が整っていないこともあり、
業務が煩雑であったり、予定が読めないことも多く、とても効率的とは言えません。

配属先にはパソコンがなく、データ管理などが上手くできないこともその1つでした。

生活習慣病などの慢性疾患をコントロールするためには継続的なフォローアップが必要ですが、ヘルスセンターにはカルテすらありません。

そのため毎回の診察が繋がりを持たず、ブツ切れの診察になっていました。

せめてフォローアップが必要な患者さんだけでもと思い、
生活習慣病患者さんと低体重の赤ちゃんのためのフォローアップファイルを作り、
継続的なケアが受けられるように取り組んでいます。

また、煩雑な業務が少しでも簡易化できればと、在庫管理の方法の改善などにも着手しました。

しかし、ヘルスセンター内だけでは解決できない問題も多く、日々頭を悩ませています。

管轄地域内は交通機関が充実していないため、受診の遅れによる症状悪化なども多く見受けられます。

衛生環境や生活習慣の改善で、
防げる疾病もありますが知識不足やインフラが整っていない地域もあり、
予防医学はまだ十分には根付いていません。

そのため、アウトリーチや健康教育による知識の普及、衛生環境の改善は必要と考えます。

【バヌアツの医療に触れて】
バヌアツの医療は決して十分とは言えませんが、すでにたくさんのドネーションも入っているため、薬剤や物品不足で困ることはあまりないようです。

しかし、私が日本で学んできた「根拠に基づく医療」とは異なる解釈が存在するのも事実で、赴任した当初はその違いを受け入れることに大きな葛藤がありました。

今でも納得できないことがたくさんありますが、一緒に活動する中で気づいたことは「医療は信頼に基づいて成り立っている」ということです。

自分の身体のことを相談するのに、相手に不信感を持っていては医療は成り立ちません。私が乳幼児健診を始めた当初は、お母さんも不安そうに私を見ていました。

私が測定などをした後に、同僚のところへ行き、体調の相談をするお母さんもいました。

しかし、毎月の健診で顔を合わせて、一緒に赤ちゃんの成長を評価していく中で、信頼関係ができ、今ではいろんな相談をしてくれるようになったように感じています。

日本では当たり前のことすぎて特に気にとめずに過ごしていましたが、
患者さんと医療者がよい関係を築きながら一緒に治療に参加するということが大切なんだと改めて気づけたことは私にとって大切な体験になりました。

(文と写真:河原柚香さん)

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柚香さんには、昨年私の配属先での栄養ワークショップも手伝っていただきました。

初対面のお母さんや子どもたちにもかかわらず、笑顔で接していただき、とても嬉しかったです。

お母さんや職員達からも大人気で、

ワークショップ後にも「ユカは元気か?」と度々聞かれました。

その他にも、子どものケガ等についても相談にのってくださり、とても心強かったです。

次回は、パンナギス村の紹介をしていただきます♪♪

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