JICA海外協力隊の世界日記

アフリ感 in Botswana

おばあちゃんとのかご作り

 ボツワナではお土産でカゴが売られています。これらは北部の特産物です。デザインが色々あって、このデザインには意味が込められていて、走ってるダチョウとかキリンのあばら骨とか。アフリ感!

 使うのがもったいないくらいきれいなカゴで、デザインの意味を知るとその作った人の思いが想像できて、もっと愛着がわきます。そんな北部での特産物は首都のお土産屋さんで買えますが、任地で売っていなくて任地の人は使っていないので、任地の生活の中で使うカゴを今日は紹介します。

 任地で知り合ったおばあちゃん。任地の60歳くらい以上の人は英語を全く知らない人も多いと言われています。このおばあちゃんも例外ではなく、英語は全く通じません。なので、私が1年半勉強してきたツワナ語が頼りです。カゴ作り教えて!って言って行ったのに、なかなか家にいなくて、行くと田舎に帰ってるって言われました。ボツワナでは農地と家畜を育てる土地が無料で国民に与えられていて、村で過ごす期間とそこで過ごす期間があります。何回かそのおうちに遊びに行き、おばあちゃんにやっと会えた時に「かご作り教えて~」と言ったら、かご持ってきて買うと思われ、なかなか教えてほしいというツワナ語が通じませんでした。買いたいのではなくて、作り方を教えてほしいんだけどなぁ~と伝えて、また別の日に行っても、今日は忙しい~!とかそんなやり取りが1週間くらい続いて、やっと弟子入り成功!!ツワナ語とジェスチャーがやっと伝わったのか、ちゃんとカゴを作る準備をしてくれていた日が来ました。カゴ作りに必要なのは、細長い藁のような草とグレープの木の皮と、先のとがった刺すものとナイフと水。

 そして、カゴ作りをする日々が始まりました。かご作り初め.jpg

 小学校での活動が終わって夕方におばあちゃんちに行ったり、土日におばあちゃんちに行ったり。10人以上の家族と一緒に住んでるのですが、おばあちゃんは行くといつも一人で、木陰で編み物をしていました。

 私たちがカゴ作りを始めると、学校から帰ってきたその家の子供たちがいつも周りに集まってきて、カゴを作るのを見ていたり、喋りかけてくれたりしました。高校生の子供たちは英語がちょっとだけわかるので、おばあちゃんが何を言ってるのか分からない時は助りました。任地の村の端の方にある地域だからか、私の住んでる地域より英語が通じませんでした。

 カゴ作りは、一番底の真ん中の部分と最後の一周はちょっとだけ作り方が違いますが、他は同じことの繰り返しで、穴を空けてそこに皮を通して引っ張る。乾いてきたら皮やカゴを濡らすという作業です。

かご作り方.jpg

 おばあちゃんと2人の時間はツワナ語オンリー。私がツワナ語話者でないことを知ってか知らずか、容赦ないツワナ語のマシンガントークでした。なので、せっかくやった部分を修正されて、何がダメなのかがよくわからないこともしばしば。何がダメだったかわからないので、私もどうしたらOKなのかわからず、聞いても、めちゃ早口で言うので、結局わかりませんでした。かご作り中.jpg

 近所の人や、英語はできないけどツワナ語で話しかけてくれる子供たちや友達が、いかに私にわかりやすく工夫してツワナ語を使ってくれていたのかに、この時気がつきました。私はツワナ語上達した!と思ってたけど、周りの人がわかりやすく話してくれていたのかと。

 また、カゴ作りのおかげで、普段日常生活では使わない「引く」「濡らす」「落ち着いて」(私がすぐ私がやりたい!返して~!と言っていたので)「デザインする」「修正する」など、今まで使ったことないツワナ語を体験しながら知ることができました。かご作り2.jpg

 カゴ作りはめちゃくちゃ時間がかかります。カゴを作りながら、おばあちゃんの家族とご飯を食べたり、お茶休憩したり、高校生の子供たちが流行りの音楽かけて踊りの練習をしたり、3歳くらいの子供が怒られてるから何をしたのかと思ったら、食べる用の貴重な米をニワトリに大量に撒いて遊んでいたっていうのを聞いたり(あっそれ私見てたで!と思いながら)、子供の怒られる内容もアフリ感やなと思いました。

 そして、カゴ作りに時間がかかるからこそ、私はボツワナ人の日常生活が垣間見れてよかったと思いました。私は持って帰るの大変だから小さいカゴを希望したのですが、この小さいカゴ1つ作るのに、こんなに時間がかかるとは思っていませんでした。同時に、以前にボツワナ北部でお土産にカゴを買った時に、少し値切ってしまったことを後悔しました。こんなに大変だったなんて!

 このカゴ作りですが、誰に聞いても任地で作れる人はなかなかいませんでした。なので、私がカゴ作りをしているって言うとボツワナ人もびっくり!カゴ作りはすでに昔の風景なんだと思います。しかし、私は穀物を保存するために使う、この昔ながらのカゴ作りは、ボツワナを知るためには大切な経験だと思うし、環境教育が職種の私にとっては、とてもエコで素晴らしい文化だと感じました。そして、私とおばあちゃんが作っている姿を見ていた子供たちが、カゴ作りに興味を持ってくれてたら嬉しいなと思います。任地には新しく博物館ができるのですが、そこに飾るカゴ作りチームになろう!と師匠が言ってくれたのは嬉しかったです。

 カゴ作りももちろん楽しかったけど、ツワナ語漬けでおばあちゃんと会話して話が通じて大爆笑したりとか、このよく喋るおばあちゃん家に行って話すのがめちゃ楽しかったです。

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