JICA海外協力隊の世界日記

アフリ感 in Botswana

動物保護 vs 昔からの生活

Conservation Project活動の中で私がしたかった活動は、この輪っかを見つける活動Anti-Proachingです。これは動物たちを捕まえるワナです。

この地域では、近くの村の人が、違法にワナを仕掛けて動物たちを捕まえて殺しているそうです。ワナを見つけ、取り除き、動物たちの命を守ることを目的に行います。

活動は森の中で行います。木がたくさん生い茂っているし、動物たちもいるので、この活動はチームワークが大切。ボランティア13人が横一列に並んで行うローラー作戦ですが、隣の人との間隔を保ち、木にぶつからないように避けながら、且つ木にあるワナを見つける必要があります。方向転換するときや、ワナを見つけて止まるときは伝言ゲームでメッセージが伝わってきます。森の中で大声を出さない工夫です。肉食動物からすぐに逃げられるように、オープンエリアで夜を過ごす草食動物の行動を把握した密猟者は、オープンエリアの周りにワナを仕掛けるということで、オープンエリア周辺を捜索すると、たくさんのワナを見つけることができました。

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今回、この活動中に日本ではしない経験をしました。

ある時、参加者みんなでワナ探しをしていた時、ちょうど私の目の前の大きな木の下でシマウマが横たわって死んでいるのを見つけました。うわぁ!ワナにかかって、ほんまに死んでる!!

ワナを見つけた時は、ワナがあった場所を記録し、ワナを外して、そのワナが使用前なのか使用済みなのかを記録するのですが、死んでるシマウマを見つけた時はどうしたらいいのかわからなかったので、スタッフにシマウマが死んでること知らせに行きました。シマウマに近づいてよく見ると、お尻にぽっかり穴が開いていて、ガイドは「これはワナじゃなくて、ライオンが狩りしたんだよ」と教えてくれました。スタッフの説明を受けて、その場を離れようとした時、「早く車にも戻って!」というので、みんなで足早に戻りました。どうやら、ライオンが唸っているのが聞こえたそうです。むやみに死んでる動物に近づくと危険だということをボツワナで学びました。車に急いで戻る時に、シマウマの内臓が落ちていました。スタッフさんによると、ライオンは内臓は食べず、ハイエナとか他の動物に分け与えるそうです。内臓もめちゃくちゃ新鮮で、ここでシマウマを仕留めて、木の下まで運んだということが分かりました。他の動物にばれないように、木の下に隠してたところを私がたまたま見つけてしまったということです。横取りしにきたと思われていたら、危なかったです。

死んだシマウマを見るまでは、動物かっこいい!かわいい!すごい!という感情だけだったのが、ボツワナではその動物たちが、大自然の中で生きているというのを感じました。

Tuliにはたくさんの動物がいます。動物を増やすために頑張っているそうです。そのおかげで毎日たくさんの動物を見ることができました。

私が到着する前日には、ワナが何か月も足に絡まって、死にそうになっている象の救出作戦がヘリコプターなどを使って行われたそうです。ワナが動物を苦しめているのは事実です。

そして、そのワナは近くの村の人が仕掛けるそうです。満月の時は明るいので、その時に仕掛けたり、祝日の前になるとワナの数が増えると言っていました。私もスーパーでGame meatとして売っているシマウマやキリン、ヌーやインパラといろいろ食べてきたので、複雑な気持ちです。

このプログラムには色々な先進国の人が参加していました。動物保護の観点で、ワナで動物の命が失われることに対して、「動物たちがかわいそう!」「ワナを回収しないと!」「なんてことをここのボツワナ人はしてるんだ!」という意見が参加者やこの団体からは感じられました。しかし、私はボツワナ人と過ごして1年以上経ち、海外からの参加者とは違った視点で見ることができるようになりました。「ボツワナ人はもともと、この野生動物を食べて生きていたしなぁ。」「同僚も狩りをして、野生の肉食べてたし、しかも今でも普通にスーパーで売ってる肉だし、みんなが牛肉とか豚肉食べるのと同じ感覚なのでは?」「もし自分のボツワナ人の友だちが目の前でワナを仕掛けていたら、それを止められるだろか?」と思う自分もいて、ワナを仕掛けた人はどんな気持ちでワナをしかけてるのかなと考えながら、ワナの回収をしていました。

動物を守ることは、サファリなどの観光を進めていく面でボツワナの発展のためには大事だと思います。でも、もともと動物の肉を食べていた観光の恩恵を受けてない村の人にとっては、この保護活動に賛成できないでいる気持ちも分かる。こんな視点は、きっと協力隊に参加していなければ、持たなかった視点だと思います。

「動物保護vs現地の人の生活」

どちらも大事だから、どちらがいいかとかいう問題ではないけれど、色々考えさせられた日々でした。

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