2024/02/29 Thu
人 生活
絵本の読み聞かせ~身近な国際協力?!~
任地では、お金がないという理由で子供をプレスクールに通わせることができない人がいます。プレスクールでは足し算や英語に読み書きも習うので、それをやらずに小学校に入ると困り感がでてきます。私は、近所にいる子が小学校で困らないように、時間のある夕方にプレスクールで習う英語の歌を教えたり、数字の書き方や英語での言い方を教えたりしています。自分からツワナ語で「英語教えて~」とドアをノックしてくるので、活動が終わった夕方に一緒に英単語を言ったり、数字を土に書いて教えたりしていました。英語を教えてほしいのか、英語とツワナ語を書いているカラフルな本を見るのが楽しいのか、毎日のように「教えて~」と来てくれます。初めは数字も英語も全然できなかったけど、だんだんできるようになってきて私も嬉しいし、小学校1年生になって学校が楽しいと言っているので、ひとまず安心しています。
そして、最近ふと思ったのが、ツワナ語の絵本って見たことないし、絵本を読んでもらったことがあるのかなということです。日本では日本語の絵本がたくさんあるし、小さい頃に絵本を読んでもらった記憶は、大人になっても覚えているくらい幼少期の思い出の一つだと思います。私が自分で勉強するために買った英語とツワナ語と絵が書いてあるカラフルな本を、ボツワナの子供が嬉しそうに見ていたので、もしかして絵本持ってないのかな?読んでもらったことないのかな?と思いました。そして、そんな子供たちに、絵本を読んであげたいなと思いました。近所の小さな子供たちは英語は全くわからないので、ツワナ語の絵本が必要です。任地に本屋はないので、首都に行った時に、一番大きな書店でツワナ語の絵本を探したのですが、置いてあるのは英語の絵本ばかり。なんで?!と思いました。
他の本屋さんに行ってみると、思っていたのとは違いましたが、薄っぺらい絵の描いた本が見つかりました。1冊はバケツとボツワナの三本足がついた鍋に顔が付いていて、その2人がずっと喋っている絵本。バケツと鍋の同じような絵がどのページにも書かれていました。もう1冊は女の子の日常生活のことが書かれている絵本で、どちらを買おうか迷いました。内容と文字の大きさ的には鍋とバケツの本の方が簡単そうでしたが、絵が色々載っている女の子の話の方が面白そうだったので、内容不明のまま結局2つとも買うことにしました!
そして、さっそく任地で近所の子供たちに読み聞かせをすると、いつも落ち着きのない男の子たちがイスにちゃんと座って集中している様子でした。文字どおりに読んだらいいので読むことはできるけど、内容は私には半分くらいしかわからないままです。でも、子供たちの集中する様子を見ると、私の下手くそなツワナ語でも不思議なことに伝わっているようでした。
学校の先生に「ボツワナの子供たちって本読まないの?」と聞くと、「昔はあの教室も図書室だったけど教室が足りなくなって、だいぶ前から図書室をつぶして教室にしている」と言っていました。図書室をつぶして教室にしていても、この学校では5クラス分の教室が足りていなくて、いつも外の木の下で授業をしているクラスがあります。教室が足りていないから、図書室が無くなり本も身近ではないようです。「ツワナ語の絵本って見かけないんだけど?」って聞くと、ツワナ語の絵本はやはり非常に少ないようで、先生たちは自分で絵をコピーして絵本を手作りすることもあるようでした。
任地では、私たちの子供の頃の思い出にある絵本がある家庭は非常に少ないようです。そして、英語がわからない任地の子供たちには首都にたくさんある英語の絵本ではなく、ツワナ語の絵本が必要だと感じます。そんな子供たちに絵本を読み聞かせする時間が、私の活動後の癒しの時間です。そして小さいころ好きだった絵本を読んでもらうことを、任地の子供たちに少しでも体験してほしいなと思っています。絵本の内容は半分くらいしかわからないし、発音も間違いだらけだけれど、私のツワナ語の上達にもなるし、子供たちが喜んでくれているので、Win-Winということで、絵本の読み聞かせを続けています。
ボツワナの公用語は英語とツワナ語ですが、カランガ語やカラハリ語、ヘレロ語、コイサン語など他にも色々な言語を話す民族がいます。今回ツワナ語の絵本はやっとのことで少数を首都で見つけることができましたが、そのほかの民族の言葉の絵本は見つけることができませんでした。子供たちにとって絵本は自分の母国語で読んだり、読み聞かせすることが必須だと思います。日本にいたら当たり前だった母国語の絵本、それがボツワナにくるとこんなに探すのが大変だとは思いもしませんでした。世界の子供たちが母国語で絵本を楽しむ未来が来ますように・・・
今日は職種とは関係ないのですが、私の日常の紹介でした。
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