JICA海外協力隊の世界日記

わたしのセルビア時間

シロゴイノ村から誕生した手製のニット

Zdravo!

今回はSirogojno(シロゴイノ)のニットについてお話ししたいと思います。以前、野外博物館を紹介したシロゴイノ村ですが、ズラティボルから車で約30分のところにある、人口500人強(2022年)の小さな村です。

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今やセルビアを代表するニットブランドとして知られる「Sirogojno Style」は、この村で1960年代に誕生しました。元チャエティナ州の自治体職員で観光担当であったDobrila Smiljanicという女性の功績が大きく、世界に広まるブランドとして成長を遂げていきます。

ズラティボルエリアは山間地帯で冬は豪雪であり、古くから女性達による手編みのニット作りは盛んでした。当時60年代は、旧ユーゴスラビア時代。セルビアでも他国同様「女性は家庭にいるべき」という考えが一般的でした。そういった時代に女性達がニットを製作し収入を得る、という社会進出の機会を与えたのがシロゴイノのニットです。これは、セルビア社会にとっても大きな影響を与えました。これらの女性達の功績を伝える目的もあり、2008年にこの場所にニット博物館("Knitter's Museum")が作られました。

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スタート当初は地元産ウールを使っていましたが、素材の質の面で国産は粗く、海外市場に挑戦するには不十分ということで、1970年初頭からアイスランド産の羊毛を使用するようになります。地元産の毛糸でなくなってしまったのは少々残念ではあるものの、この素材変更により、かぎ編みの技法やカラーバリエーション展開が可能となり、現在のシロゴイノニットを特徴付ける“独特なデザイン”に繋がっています。

Dobrilaはニットデザイナーとして介入し、様々な新モチーフを女性達に伝授し、教育していきました。もともとは花柄や幾何学模様が伝統的な柄でしたが、例えばこの地域の家やフェンス、牧草地、ズラティボルの風景、動物モチーフ(特に蝶や羊)、様式化された天体等のデザインモチーフ等が登場します。ニット自体の品質アップとともに女性たちのニット技術の向上により、ファッション性も高まり市場のニーズを満たしていきました。

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当初は40名程度の協力者でしたが、組織化も徐々になされ、ベオグラードの企業とも提携し、1991年までにウジチェ内5つの自治体、22の村から約2500人の女性たちがニット製作に参加するまでに成長したそうです。そして、日本を含めパリ、ブリュッセル、モスクワ、ローマ、リヨン、ミュンヘン等へも輸出されるようになり、数々の賞も受賞しました。

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しかし、その後ユーゴスラビア内戦となり、1992年に国際社会からの制裁を受けると市場を失い、海外流通も停止となり経営的にも厳しい状況となります。1998年に地元出身の個人経営者に売却され、現在は規模を縮小して「Sirogojno Style」として、引き続き品質や基準を守りつつ手編みの生産を継続しているというのが現状です。近年は、若手デザイナーのGeorge Stylerとのコラボレーションデザインも展開され、現在では伝統と現代の双方のデザインラインが混在する形となっています。

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さてちょっと長く歴史的背景を記載しましたが、私が日本に帰国する前に購入したかった地元のプロダクトの一つが、このニットです。

やはり何と言っても、この西セルビアの、ズラティボルエリアの風景が反映されたニットは、この地で2年間暮らしたわたしにとっても大事なモチーフでもあります。

先日ついに購入した2アイテムがこちら!

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ちなみに、手編み作品全てにこの地域を象徴する伝統的な丸太小屋型のロゴラベルがつけられ、そこにはそのニットを編んだ女性の名前が記されています。

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正直なところお値段的にはセルビアの物価からすると高いですし、少し重たく嵩張るという点も否めませんが、目がしっかりキュッと詰まっていて、とても暖かい。

日本ではちょっと派手!?かもですが、どことなくノスタルジックでエスニックな印象もあり、個人的にとても気に入っています。

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ファッション市場はめまぐるしく需要が変わりつつありますが、手作りのニット、セルビアの思い出と共に大事に着たいと思います。

Vidimo se!

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