JICA海外協力隊の世界日記

わたしのセルビア時間

セルビア独自の文化・スラヴァ

Zdravo!

どこの国にも独自の文化というのが存在しますが、セルビアのユネスコ無形文化遺産にも登録されているセルビアならではの習慣が、Slava(スラヴァ)です。正教会の行事「スラヴァ」が基本風習として現在残っているのはバルカン地域でおそらくセルビアのみではないでしょうか。

スラヴァは、家庭毎に異なる、それぞれの家の守護聖人を祝う日で、この日は遠方で暮らす家族も帰郷し、年に一度、家族が集い、親しい友人らゲストを招いてお祝いします。

120日の聖ヨハネ、127日の聖サヴァ、5月6日の聖ゲオルギオス、1219日の聖ニコラウスなど、多くの人が祝う日が重なる場合もあるのですが、家ごとに違う日程のため、通年誰かのスラヴァがやってきます(ちなみに重なる場合はハシゴしたりしています)。また、ユニークなのは、学校や村などにおいても村のスラヴァ、学校のスラヴァがあるということ。記念日のようですね。

まず、スラヴァに欠かせないものが、メインの写真にも今回使用している「Slavski Kolač(スラヴスキ・コラチュ)」と言われる、丸いケーキのようなパン。これは教会での儀式の際にも必要で、家長が教会に持参し、聖職者がパンを十字に割り、そこに赤ワインを垂らします。それを家長が家に持ち帰り、皆でちぎり分け合いながら食べます。デザインには聖人に纏わる鳩やバラ、本などのシンボルが飾られています。

また食卓周りには聖人のイコンや、主の象徴であるろうそくが灯され、Žito(ジト)と呼ばれる小麦で出来たペースト状の食べ物が用意されます。ゲストは訪問するとまずこのジトを一口、口にするのが儀式となっています。が、家庭によってジトがない場合などもあります。

また、スラヴァが、クリスマスやイースター(セルビア正教では40日前から食事制限がある)に時期がかぶる場合は乳製品や肉、お菓子等をファスティング(断食)します。また、スラヴァが水曜と金曜(セルビア正教では節制の曜日)にあたる場合も、魚や野菜のみの料理でお祝いする形になります。(1週間前からの食事制限などの場合もあり、家庭によってもまちまちです)

この1年で様々な形のスラヴァに触れる機会があったので、同僚や友人の協力もいただき、写真とともにご紹介いたします。(ちなみに招待された場合は手土産として、ワインや花、コーヒーやスイーツなどを持参します)

2022.11.21 archangel Mihaila(ミハイラ)(Arandelovdan)

聖人がエンジェルであり、亡くなっていないと考え、こちらの家庭では代々ジトは用意していないそうです。歓迎は赤ワインとスイーツで。

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コラチュとろうそくはいつも食卓に。こちらはPredejela(アペタイザー)としてPršuta(プロシュータ)などの干し肉などの前菜が並びます。そのほか、Corba(チョルバ)と呼ばれるスープ、セルビア版ロールキャベツSarma(サルマ)やメインにPecena(ペチェナ)という今回は豚のお肉が食卓に。

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同じスラヴァの日でも同僚の家庭ではRakija(ラキア)の代わりにBuklija(ブクリィア)と呼ばれる、赤ワインに砂糖、りんごを加えた飲み物を家族や仲間と共に飲み回す風習を行っているそうです。食卓にはやはりコラチュとろうそくが。

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こちらも前菜にはPršuta(Zlatiborの名産!)。実際にコラチュを割っている様子。

- 2023.4.8 Sveti Lazar(ラザル)

こちらはジトが用意されていて最初に一口、いただきます。セルビア正教のイースターの前週ということもあり、こちらは乳製品や肉類が全くないファスティングでの食事。メインは魚料理になります。キャンドルにも聖人の絵が描かれています。

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テーブル横の壁には聖人のイコンが。まるで見守られているよう。

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このような形で、スラヴァも地域や家庭によって様々な形があり、日本でいう新年の食卓のようです。

家庭によっても受け継がれているものも異なり、色々な家ごとの慣習が伺え、とても興味深い。

スラヴァの日は本当に特別で、その数日はスラヴァ準備のために休み取るなど、職場でもスラヴァを優先します。また、スラヴァの翌日等に同僚が食事とドリンクを持参し、職場の朝食で一緒に食べるということも行うケースもありました。

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日本であると正月は家族・親族中心のものとなりますが、セルビアのスラヴァは親しい友人や隣人、同僚なども招いて一緒に祝うという、社交的な場でもあり、とても温かな素敵な文化だと思いました。

ご協力、招待いただいた皆様に感謝。Hvala mnogo!

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