2020/03/02 Mon
人
ジュリアオ4


上の写真は第一回日本語スピーチコンテストで優勝したジュリアオ。
「お金無いね」「仕方ないね」
ジュリアオは少し寂しそうに言いました。
私はジュリアオは仕事もしてたのでなぜお金が無いのかジュリアオに聞くと、
ジュリアオは両親の家をリフォームするのに給料の殆どを毎月仕送りしており、日本への航空チケットを買ったらお金は底をついたとの事でした。
私は「わかった金の事は心配すんな」と伝えるとジュリアオはびっくりして、「先生お金無いでしょ?貧乏でしょ!」
はい、確かに貧乏ですけど、貧乏は余計なんじゃい!と思いながら「無かったら有るとこから持って来たらええんじゃ任しとけ!」そしてちいさ〜ぃ聞こえないぐらいの声で「たぶんやで」と伝えました。
ジュリアオは意味が分からなかったようで、いつもどおりポカンとアホみたいな顔をしていました。
私は周りのティモール人やジュリアオと仲のいい日本人に連絡をしました。
するとさすがジュリアオ、みんなジュリアオの為やったらとあっという間にお金は集まりました。
さっそくジュリアオに連絡しました。
私は「ほい!みんな協力してくれたぞ、これでいけるやろ?」とお金を渡すと、ジュリアオはビックリしたような照れくさそうなでも凄い嬉しそうな顔をしていました。
でもジュリアオは「ありがと先生でも行けない」と、「なんで?」と訊ねると、
「こんなね大金入れる財布が無いからね、怖いからね」
なんじゃそれ!と思いながらそういえばジュリアオとは、ほぼ4ヶ月間毎日一緒に遊んでいたがジュリアオの財布を私は見たことが無かった。
「わかったわ、俺の財布やるからこれに入れていけ、これで日本に行けるやろ」私はお気に入りの財布をほんまはやりたないなぁと思いながらジュリアオにあげました。
「まだ行けない。荷物を入れる大きい鞄が無いからね」とジュリアオ。
私はだんだんムキになって来て、
「わかったわ、ほんだら俺のスーツケースもやるわ」ほんまはおかんのやけどと思いながらスーツケースもジュリアオにあげました。
「これでいけるやろ!」
ジュリアオ「あとね、時間がわからないから腕時計」
「アホンダラ!俺の腕時計はあかんぞ!高いんじゃこれは!時計はバリで買え!バリで!やっすいけど壊れへんやつ有るから!」
「あっ!!お前ほんまはこの前の、無かったら有るとこから持って来たらええんじゃって意味わかっとったな!!」
ジュリアオはゲラゲラ腹を抱えて笑っていました。私もつられて笑っていました。
出発の朝、空港にはジュリアオのファミリーや友達が沢山見送りに集まりました。私は俺の通訳がおらんようになってまう〜これから俺はどうやってみんなと喋ったらええんや〜という思いと、なんか弟が遠くに行ってしまうような感覚になり泣いてしまいました。
泣いている私を見つけたジュリアオが「おい!なんで泣く?泣いたら駄目!泣いたら私は早くここに戻って来てしまう事になるよ!知らないの?ティモールの文化」と迷惑そうな顔をしています。
私「ほんだら今から無理矢理大泣きして明日帰って来るようにしたらあ〜!」
ジュリアオは照れくさそうな少し寂しそうな顔をしてみんなに手を振り日本に旅立って行きました。


一ヶ月後、ジュリアオから写真が送られて来ました。
先生!私の生徒たちです。
SHARE