JICA海外協力隊の世界日記

青年海外協力隊 セネガル滞在記 ~Pas à pas~

算数カルタ

少しずつ、いろんな学校で算数やフランス語の授業に情操教育の要素を取り入れた授業の提案をしています。

そして提案後、何人かの先生がその授業を実際にやってみたいと話してくれるので、では試してみましょうということで先生と一緒に実施しています。

先日、ある学校で行った授業の様子をお知らせします。

村の学校で、C1-CP(1,2年生)のクラスとCE1~CM1(3~5年生)の2クラスの学校です。今回は低学年のクラスと一緒に行いました。

数の概念形成(数字、数詞、量、まとまりとしての数を理解する)のために行った「算数カルタ」です。

数を理解する時には、数字(1,2,3・・)、数詞(un, deux trois・・)、量(1個,2つ,3本・・)、まとまりとしての数(1のかたまり、2のかたまり、3のかたまり・・)の意味を知る必要があります。

私はカフリン県の小学校の巡回をしていて、子どもたちの様子を見ながら、数を量として捉える力が弱いと感じていました。

計算をするときには、いつもミニ黒板に線をたくさん書いたり、指(足の指も使って!)で数えたりしています。

先生も、数のまとまりを意識させずに、黒板に棒をたくさん書いて計算させています。

数をまとまりとして捉えることができれば、数の合成・分解(1+4=5、5=1+4)もスムーズに行うことができます。計算の基礎となる力です。

まずは、数字、量、まとまりとしての数の意味を知ることから始めました(今回、数詞は除く)。

先生に説明をお願いします。かわいいリンゴの絵を描きながら示してくれました。

その後子どもたちに、1~5までの数字、量、数のまとまりを分担して、いつも使っているミニ黒板に書いてもらいます。

これからがゲームの始まりです。

カルタのようにそのミニ黒板を床に置き、先生が言った数の札をみつけます。

例えば、先生が「3を見つけて!」と言ったら、数字の「3」、量としての「リンゴ3個」、まとまりとして示された「3のタイル図」を見つけます。

たくさんあるので、みんなで見つけます。

子どもたち、どんな様子でやってくれるだろうか・・と見ていたら、教室のほこりが巻き上がるくらいの勢いで、札を見つけています。

取った子には、その札をみんなに示してもらい、合っているかどうかみんなで確認します。取れた子にはみんなで拍手をします。

間違えた子がいれば、みんなの学びになります。間違っていたことを非難するのではなく、みんなで考える学びの機会を逃さないようにします。

1~5までの数を、ランダムに言って子どもたちに見つけさせていた先生。

私は、子どもたちや先生の様子を見守っていました。

ふと先生が「ここに置かれていない数を言ったらどうなるかな?」と私にこっそり話かけてくれました。

私は子どもたちに聞こえないように「それはいいアイディアですね!」と先生に伝えました。

授業をこんな風にしたらいいのではないかと先生が考えて、工夫や改善しながらやってくれることは、今後につながることだと思っているので、その先生の言葉にとてもうれしくなりました。

「次は6を見つけて!」

子どもたちは、ドーッと取り合いが起こりそうなものすごい勢いで6を探しています。

その姿がおもしろすぎて、私は笑いをこらえるのに必死でした。

その後、何人かの子どもたちが気づき始めました。

「ダラ!」「ダラ!」(ウォロフ語で「ない」)と。

数の分類がきちんとできてきました。

何だか少しずつですが、モヤモヤと模索していた活動の霧が晴れてきたような気がしています。

活動も残り5ヶ月あまり。

先生方と授業について話し合い、思考錯誤する時間を大切にしながら、1回1回を意味のあるものにできたらと思っています。

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