JICA海外協力隊の世界日記

青年海外協力隊 セネガル滞在記 ~Pas à pas~

タバスキ(犠牲祭)

《本記事には、羊の命を頂くまでの詳細が含まれますので、気分の悪くなりやすい方はご注意ください。》

タバスキは、ラマダン(断食月)があけて一ヶ月と十日後に行われる、イスラム教の一番大きなお祭りです。

その日は、ほとんどのおうちで羊をさばいて食べます。命に感謝する日です。

タバスキ前は、多くの人が実家で過ごします。帰省ラッシュがすごく、移動は大変困難でした。

また、お店も祭り前ということで大変な賑わい。いつものカフリンではないようなくらいの大混雑でした。

さて、当日はというと・・昨日までの喧騒がうそのよう。しんとしています。みんなおうちで家族と一緒に過ごしています。

私は朝から隣のおうちに行き、一緒に過ごしました。

まずはいつもの水汲みから。たらいに水を入れ、頭に載せて運び、かめに入れるという作業を女性たちは何度も繰り返しているのですが、今日は私も一緒に行いました。

男性たちは、近くのモスクにお祈りをしに行っていました。みなさん新しい服を着ています。

男性たちはお祈りの後着替えてから、羊を連れてきました。縛り付けておき、家の敷地に一つ穴を掘っていました。

《これ以降、気分の悪くなりやすい方はご注意ください。》

始めは何の穴かわからなかったのですが、ずっと見ていると、羊の足を縛り、3人程の男性で押さえ、一人がその穴に血が入るように羊の喉元を切りました。

私は羊がさばかれる様子をずっと見ていました。

のどから出てくる血が少し収まってきたら、その後羊を仰向けにして皮をはいでいきます。

足から順に。きれいな腱が見えてきます。

両足、両手に切れ目を入れたら次はおなかです。肉に沿って皮をはいでいきます。お父さんは手馴れた手つきでおなかから背中にかけてはいでいきます。

子どもたちは、足を押さえながらじっとその様子をみつめています。

そして皮が全部はげたら、足を切り落としていきます。

その後皮を下敷きにして、おなかに切れ目を入れます。内臓が出てきます。大きく膨らんだ胃や腸が出てきます。腸はまだ動いています。すぐ肝臓を子どもに持たせています。そして少しずつ焼き始めます。肺はピンク色。とてもきれいです。肋骨周りの肉がキラキラと光っています。

内臓系はまとめて洗い、腸や胃袋の中身を出していきます。

肋骨まわりは固いので斧でたたいています。

胸、首、顔まわりの肉もそぎ落としていきます。無駄がありません。

鮮やかな手さばきで、一つ一つの動作に息を呑むばかりでした。

わずか1時間足らずで1匹の解体が終わりました。

このおうちは大家族です。お父さんも「だいたい60人くらいかな」と言っているくらい、何人いるかわからないほどです。親戚中で住んでいるようです。

各家庭1匹さばくのが普通だと思うのですが、このおうちはなんと6匹を同時進行でさばいていました。たくさんさばいた分は近所の方にもおすそ分けしているようでした。

男性陣みんなで解体します。子どもも手伝います。

こうやって小さい頃から見て覚えていくのだと感じました。

女性陣は、芋や玉ねぎを切っています。大量です。

そして少しずつお肉を焼き始めています。焼きたて、切り立ての新鮮な肝をいただきました。とてもおいしかったです・・!

私も、羊の解体を見た後は調理をお手伝いします。ちょこちょこ焼きあがったお肉をつまみながら。

また、腸を洗ってきれいにのばすことを繰り返します。そして、腸を胃袋の小さく切ったものに巻きます。こちらも一緒に行いました。見よう見まねでやってみて、大きいのやら小さいのやらがたくさんできました。

さて、おまちかねの料理です。芋を揚げたものをトッピングに、しっかり焼いたお肉を玉ねぎのソースで味付けしたものが大きなお皿にどんと盛り付けられ、パンと一緒に食べます。いつものようにもくもくと・・一口一口かみしめながら、味わいながら。

ついさっきまで生きていた羊を食べている。いただいている命にただただ感謝するのみです。

さてこの料理、朝・昼・晩と続きます。お肉が毎食食べられるなんて!素晴らしいです。

夜になったら、いそいそとみんな新しい服に着替えだします。今日は、服を新調する日のようで、みなさんきれいな服を着ておめかしをしています。

子どもたちは新しい服を着て近所を回り、お金をもらいに行っています。日本のお正月のようです。

私も新しい服を一着作ってもらったので、その服で近所の方にあいさつをしに行きました。

ちょっと派手すぎて、日本では着れないと思いますが・・任地では思い切って!

隣のお姉さんと撮った一枚です。

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