JICA海外協力隊の世界日記

La vida en Honduras

学校保健冊子の導入

 こんにちは!今回は、先月から導入した学校保健冊子についてお伝えします。

 以前の記事でもお伝えしたように、ホンジュラスの公立学校カリキュラムには決められた保健の授業や教材がありません。(2019年6月現在)  そのため、グラシアス市では各コミュニティの保健所の保健推進員や医師が毎月1~2回程度、各学校を周り保健と性に関する出張授業を行っています。授業のテーマは年代に合わせてですが、手洗いなどの衛生基礎から栄養バランス、デング熱などの虫感染症予防や思春期世代を対象にした若年妊娠予防や性感染症など幅広く展開されています。授業では、紙芝居やポスターなどの啓発教材を活用している保健推進員もいますが、テーマによっては教材がなく口頭で話して終わってしまうこともあります。

 そこで今回、ホンジュラス海外協力隊員が企画・制作した学校保健冊子を製本し、各コミュニティに導入しました。教科書の企画・制作は昨年帰国されたホンジュラス海外協力隊員の方々ですが、これまではデータのみを各隊員が活用していて製本されたものがありませんでした。データ版を保健所の同僚と共有して活用することも可能ですが、常に電気やパソコンがある環境ではないので使うのに制限がありました。そこで今年4月、新たに添削作業を行いコミュニティで同僚が持ち歩けるように教科書の製本を行いました。

 教科書の項目は全部で14項あり各項目ごとにおさらいテストが含まれています。内容も子ども向けに特化したもので、手洗いなどの衛生に関連したポイ捨てなどの環境問題に関するものから、中高生向けの第二次性徴や妊娠~出産までの過程、いじめや差別をしないための人権とジェンダー、暴力のテーマやアルコールと薬物などの内容が含まれています。

 個人的には、保健推進員達の啓発活動も単純な病気の予防に関する内容だけでなく対象者が自分の心と身体を正しく理解するためにジェンダーの多様性やコンドームが避妊のための道具だけではないことなどのポイントをもっと盛り込んでいきたいと考えています。その補助として、この教科書を活用してもらうのが狙いです。

 とあるコミュニティでは、先月の出張授業で早速教科書を活用していました。テーマは若年妊娠のリスクと予防について。10代で妊娠することによって心身的なリスクだけでなく、今後の人生にどのような影響を及ぼすのか、保健推進員が質問すると生徒達からは様々な答えが出ていました。もう学校に行けなくなってしまう、赤ちゃんの面倒をみないといけないから働くことができない、赤ちゃんにもお母さんにも出産過程で死んでしまう可能性がある等々。保健推進員の話だけでなく、目の前の教科書にも目を通して音読することによって子ども達の理解度や集中力も高い印象でした。また、保健推進員自身も教科書があることによって話が途中でそれても、伝えるべき内容を忘れずに話すことができるとの声がありました。

 教科書を活用しながら、予防啓発活動の質の向上にこれからも取り組んでいきます。

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