JICA海外協力隊の世界日記

La vida en Honduras

シャーガス病に対する予防啓発活動

 シャーガス病という病名を聞いたことはあるでしょうか。日本では馴染みのない言葉かもしれませんが、ホンジュラスはじめ中米地域では、デング熱やマラリア熱などと同様に問題視されている感染症の一つです。

 シャーガス病はトリパノソーマクルーズという寄生虫を病原体とし、上の画像にあるサシガメという吸血性の昆虫を媒介してヒトに感染する病気です。日中は木材や土の中に潜んでおり、夜になると活発に動き始め人にも吸血し、傷口や粘膜を通じて病原体が感染してしまいます。個人差はあるものの、目立った初期症状はほとんどなく数十年後に心臓合併症などを引き起こす可能性のある危険な感染症です。

 ここホンジュラスでも、2000年代まで人口の約3%が感染している状況でしたが米州保健機構やJICAが行ったシャーガス病対策プロジェクトにより2011年以降は感染が減少しています。

参照:独立行政法人国際協力機構JICA「ホンジュラス シャーガス病対策プロジェクトフェーズ2」

https://www.jica.go.jp/project/honduras/0701409/01/index.html 

 感染者数は減っても、病原体を保有するサシガメがホンジュラス国内で消滅したわけではありません。土壁の家、かまど用に備蓄している薪の中やベッドの隙間など住民の身近な所にサシガメが潜んでいる可能性は現在でも十分にあります。住民がシャーガス病に関する正しい知識と予防対策を身につけてもらうために、グラシアス市でも山岳部のコミュニティを中心に保健推進員による予防啓発活動が行われています。ホンジュラスでは身近に飼われているニワトリの巣などにもサシガメが潜んでいることもあるので、シャーガス病に関する具体的なポイントから、感染した場合どのような症状が起こりうるのかなど子どもから成人までを対象に定期的に行っています。

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