JICA海外協力隊の世界日記

今日も Jamm Lekk !

# 17 Tabaski:タバスキ

こんにちは。篠宮です。

僕は今、セネガルの首都ダカールで、障害児・者支援の隊員として活動をしています。

前回の記事でも書きましたが、イスラム教徒が多く住むここセネガルにおいて最大の行事が「Tabaski:タバスキ」です。

正式名称は『イード・アル=アドハー』と言い、イスラム教で定められた宗教的な祝日。
日本では『犠牲祭』と訳されていることが多く、セネガルでは『タバスキ』と呼ばれています。

そんな『Tabaski:タバスキ』が6月16日(日)-17日(月)にありました。

今日はその様子をお伝えしようと思います。
僕にとっては、去年に引き続き、2回目の参加となりました。

タバスキ当日のメインは羊さんですが、準備面では他の食材やジュースの買い出し、衣服の新調、髪の編み込みなども大忙しです。

そして迎えた当日。
男性と子ども(男の子)は正装をして、近くのモスクにお祈りに行きます。
女性は、掃除や洗濯などの日々の作業と同時に、ご馳走づくりの準備を行います。

男性陣がモスクから帰ってきて、準備が整うと羊さんたちの屠殺が始まります。

去年のタバスキは、セネガルに赴任して2-3ヶ月で体験しました。
動物が屠殺される瞬間を生で見るのは、僕にとってその時が初めてで、いろんな感情に襲われたのを覚えています。

あれから約1年。
セネガルで暮らす中で、これまで何度か屠殺シーンと解体作業を生で見てきました。

今回僕が参加させて頂き、屠殺や解体作業のメインを担っていた近所の男性は、10-11歳ごろに初めて父や兄と一緒にやったとおっしゃっていました。
また、小学校低学年の男の子も一部始終を見守っていました。

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⇧去年の様子。屠殺前に足を縛っている最中。

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⇧今年の様子。男性陣が数人がかりで、屠殺前に羊の身体を押さえている最中。

魚にしても、お肉にしても綺麗に捌かれて、綺麗にパックされた状態で売られている日本。
セネガルでも同じように、特にダカールの大きなスーパーでは魚もお肉も綺麗に捌かれて、切り身や量り売りで売られています。

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解体作業をしながら、その手でコーヒを飲んだり、携帯をいじったりもします。
作業自体は、慣れた手つきで淡々と当たり前のように進みます。
この日は暑い中、屋上で1-2時間かけて、屠殺と解体作業が行われており、男たちの汗と羊の血が滴り、独特のニオイで溢れていました。

そんな中、セネガルに来て感じるのは「自然、生命と生活が近い」「自然や生命と一緒に生きている」なと。
「生命を頂くこと」そして、「いただきます」と言うこと。
これからも感謝を忘れずにいたいと思います。

全ての作業が終わると、次は女性たちに引き継がれ、おいしいご馳走になります。
※去年と今年の写真です。

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⇧どちらもウォロフ語で「Laax:ラー(ラハ)」と呼ばれるもの。温かいヨーグルトをご飯(フォンデと呼ばれる雑穀を粥状にした感じ)にかけて食べる。タバスキ以外の行事でも食べます。僕は苦手なので、この日は遠慮しました。笑

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⇧去年参加させて頂いた家庭では、先にレバー類が出てきました。

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⇧こちらも去年。

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⇧こちらも去年で、一人ずつ盛っていくスタイル。

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⇧今年参加した別の家庭では男性陣と女性陣で別れて、それぞれ1つの大皿をみんなでシェアして食べました。レバー類も一緒に入っていました。

この日の夕飯は21-22時から(セネガルではだいたい20-22時くらいに夕飯を摂るのが一般的)のため、僕は食後のジュースタイムとアタヤ(ウォロフ語でお茶)タイムを挟んで、のんびりして、18時すぎにお暇させて頂きました。

帰る前には「これはあなたの分」と下の写真のお肉を頂きました。

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⇧持ち帰ってきてから、1時間ほどかけて、保存できるように捌きました。

上の写真のように、タバスキの日に神に捧げたお肉を近隣住民や貧しい方々にも分けるのがセネガルでは当たり前です。
タバスキ以外の日でも、職場の同僚たちと食べたご飯で、残った分は近くに住む貧しい方々に分けたりしています。
こういう感覚も、セネガルに来てから体験することばかりです。

セネガルにはイスラム教徒はもちろんですが、キリスト教徒、その他の宗教、無宗教の人。
僕のような外国人、いろんな民族と文化を背景に持つ人たちが混じり合って、暮らしています。

迎えた、タバスキ当日。

「よそ者」である僕を当たり前のようにお家に招待してくれて、ここには載せていませんが屠殺の瞬間や解体作業の一部始終に至るまでの様子を写真や動画におさめること、解体作業の一部を手伝わせて頂くこと、イスラム教のお祭りに僕も家族の一員として参加することを、嫌な顔ひとつせず、快く引き受けてくれて、歓迎してくれました。

まだまだフランス語もウォロフ語も拙くて、宗教や文化など違いを探そうと思えばいくらでもあります。
まだまだ分からないことも、知らないことも、悩んで葛藤することもたくさんあります。

それでも、セネガルに来る前の派遣前訓練グローカルプログラム選考段階からもテーマとしてあった「異文化理解と深化」
その答えは、きっとすぐには出ないし、まだ言葉にはできないです。

それでも、ほんの一部でしたが、現地の人たちと同じ時間を過ごして、同じものを食べて、同じ景色を見て、同じ経験をすること
僕はJOCVとして、セネガルにいますが、お客さんとして、家族として、地域で暮らす住人として、その場にいる中で、「異文化理解と深化ってこういうことなのかもなぁ」と、甘くて渋いアタヤ(お茶)を飲みながら、ふと思いました。

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⇧Ataaya(アタヤ:ウォロフ語でお茶)

これからも自分のペースで、現地の人たちと同じ体験を重ねていきたいと思います。
長くなりましたが、最後まで読んで頂き、ありがとうございます。

それではまたお会いしましょう。

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