2018/01/18 Thu
人 文化 活動 音楽
日本から応援ボランティアを迎えました
スリランカに来たばかりのある日、20年ほど前に日本から数千万円の規模で寄付されたというたくさんの楽器が、当時一緒に寄付されて以来全く使われていないものもある大量のメンテナンス用品と共に、部屋いっぱいに傷んだまま眠っているのを見つけました。楽器は、かなり貴重なものがそろっていて、日本の学校でも手に入れるのがかなり難しいものが並んでいました。衝撃的でした。
「どうして?」
寄付された当時、演奏指導やメンテナンスについての講習もされたようですが、結局使いこなすまでには至らず、それでも、この価値がわかる人によって仕舞われ、そのまま眠ったようでした。
「このままでは宝の持ち腐れだ。とりあえず使える状態にしたい。
また、学校ではボロッボロの楽器を使っていることが多いので、メンテナンス方法を伝えたい。」
その後、楽器修理ができるボランティアが募集されることになりました。
運良く、楽器修理の専門学校を卒業したばかりの青年が応募し、合格されました。青年は管楽器の修理を2年間学んだ方でした。
その青年には、日本を出発される前から積極的にこちらの状況に関する情報に興味をもっていただくことができました。また、過去にモルディブで楽器修理のボランティア活動をされた方により、その国の状況に合わせた準備をできると良いという助言のもと、出国前の忙しい日程の中、自ら弦楽器の修理についても学ばれることになりました。弦楽器の修理を教えてくださることになった先生も、事情をよく理解し、スリランカで必要になるだろうと思われる技術をピックアップして教えてくださるという、特別レッスンをしてくださいました。
青年はスリランカに到着して以来、毎日毎日楽器修理をし、音が出ない、うまく動かない…といった楽器が、次々と再び美しい音を生み出せる楽器に戻っていきました。
そして半年。今度はその青年ボランティアが出発前にお世話になった、モルディブで楽器修理のボランティアをされた方と、弦楽器修理の指導をしてくださった先生が修理道具などを持って様子を見に来てくださいました。
先生方は、青年隊員の元に行列を作って修理を待つ子ども達の楽器の修理を快く手伝ってくださいました。多くの子ども達が、修理された楽器を笑顔で受け取っていきました。私達同様、子ども達にとっても忘れられない体験になったことと思います。
また、スリランカで独学で試行錯誤しながら修理をする方の工房を訪れた後、先生方は、修理の方法について多く語られた後にも関わらず、「こちらがたくさんのことを学ばせてもらえた。」と感想を述べられました。『異なる環境の国に暮らす者同士がお互いに学びあう』、これこそが、国際交流なのではないかと感じました。
滞在最終日には、弦が錆びて所々切れ、多くの楽器と共に眠っていた、こちらではとても貴重なグランドピアノの修理と調律をしていただきました。
この楽器の管理者はその様子を見て、これからはこのグランドピアノを楽器保管室から出して使おうと決断されました。今後、このグランドピアノは先生方の研修や教員養成大学の生徒達の授業で使われ、その音色を多くの方に楽しんでいただくことができることでしょう。
お忙しい仕事の日程をやりくりし、私費で遠路お越しいただき、様々な場面でご尽力くださった2人の方、またお2人を快く送り出してくださった皆様に大変感謝申し上げます。今回応援いただいたことで、何年も手付かずだった多くの楽器が息を吹き返しました。
1人の力は小さいと感じることも多いですが、今回応援いただいたお気持ちを胸に、今後の任期も全力で全うしたいとあらためて思いました。ありがとうございました。
SHARE