JICA海外協力隊の世界日記

エジプト地中海ぐらし

UNDOKAIがやってきた!(2)

SORAN BUSHIがやってきた!

こんにちは!EJS[Egyptian Japanese School]で活動中の須賀です。

前回の日記では、

常駐の日本人が一人しかいない学校に「運動会」「ソーラン節」「縦割り班」の指令が来て前途多難な様子をお伝えしました。

今回はその続編です。

私は、運動会の準備を進めるにあたり、一番時間がかかりそうで、練習のためにも早く欲しい用具の準備から始めることにしました。

校長先生に必要な用具を伝えたところ、「いいよ!すぐに買うよ!」と言ってくれました。

ひとまず安心して、用具がなくてもできるソーラン節の練習から始めようと思いました。

音楽科の先生のところへ行くと、待ってました!と言わんばかりに「ソーラン節って何?!」「大変なのよ!」と言われました。

こちらの音楽科の先生はご自身で作曲をして授業で歌っているような、とてもやる気に満ちた先生です。

ソーラン節を簡単に説明するととても興味を持ってくれました。相談の結果、難易度を下げるため、曲を1分程度に短縮し、またスピードもやや遅くしました。この編集は、この先生がやってくれました。

ソーラン節の指導をするにあたり、日本の古くから伝わる踊りがエジプトの子どもたちにどのように受け入れられるのかドキドキしました。

もしかしたら、受け入れてもらえないかも・・・

と不安に思いました。

初めてビデオを見せたとき、子どもたちは「何だこれは!?」「やってみる!」「こんな感じ!?」と興味津々にビデオに見入ったり、真似て踊り始めたりしました。

私の不安をよそに子どもたちはとても楽しそうにしていました。子どもの新しいものを受け入れる力に感心しました。

曲の編集もできて、振り付けも簡単なものにしました。ソーラン節を踊ることにも多くの子どもは前向きでした。

一生懸命にソーラン節を練習していた日のことです。小さな事件が起きました。

ソーラン節の指導は基本的に私と音楽科の先生で行っています。

熱心で責任感のある先生の指導には自然と熱が入ります。もちろん、私にも焦りがありました。

そんな厳しい練習が続いているある日、最高学年である4年生は先生に大きく反抗し練習が中断されました。

子供たちはサッカーがしたくてたまらないのに突然知らない踊りを踊らされているからです。私たち教師は、子どもたちに重要な説明をしていませんでした。

そこで私は座っている4年生の前に座り、目線を合わせて話し始めました。「ところでみんなはどうして運動会をやるか知っている?」と問いかけました。その質問を聞いた音楽の先生とその場に居合わせた先生は目を合わせて、「いやいやそんな質問わかるわけないだろ」と半笑いの表情で「若い日本人教師は突然何を言い出すんだ」と言いたげでした。でも子どもたちにとって必要な説明です。

「運動会当日はみんなのおうちの方が皆さんの姿を見に来るよね。みんなのおうちの方はみんなの成長した姿を見たいと思っているよ。でも普段はみんなの学校での姿を見ることができない。運動会は皆さんのおうちの方にみんなの成長した姿を見せることができるチャンスなんだ。」大体こんな内容を私は4年生のみんなに伝えました。これは以前指導してもらっていた先生の教え方を真似たものです。

そしてソーラン節がどういった踊りなのか、動きにどんな意味があるのか、「どっこいしょ」といった掛け声はどんな意味なのかを説明しました。

「どっこいしょ」とは力を出すときに使う言葉だと伝えると「あーあの言葉と一緒だ」と言うふうに理解してくれました。それはイスラムの大事な言葉でした。

私たちが住んでる町はエジプトの北のほうにあり漁も盛んな街です。ソーラン節が生まれたのも日本の北にある海に面した街です。

驚いたことに、エジプトにも「ソーラン節」のような漁をする際に歌う古くから伝わる歌がありました。

現場の先生の一人はエジプト版ソーラン節の映像を子どもたちに観せて、理解を深めさせました。

日本の文化がエジプトの人々に理解されて受け入れられていく瞬間を見たようでした。

先生方は工夫して指導してくれています。子どもたちはやる気になって練習しています。

下校時にはグータッチをして別れるのですが、「どっこいしょ」と言いながら笑顔でグータッチをする子もいました。

当日はいい演技が出来そうだと思いました。

校長先生に用具の購入をお願いしてから1週間以上経ちましたが、まだ用具は来ません。「明日買ってくるよ!」と言ってくれています。運動会まであと1週間ほどしかありません。

運動会当日はうまくいくのでしょうか・・・

次回は競技練習と当日の様子をお伝えします!

それでは、また!

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