JICA海外協力隊の世界日記

ミクロネシア日記「ことこと」

物がない!?

日本は新年度がスタートしましたね。こちらは、6月が卒業シーズンなので、あともうひとがんばりです。

3月に、先ぱい小学校隊員が、任期を終えてポンペイから日本に帰っていきました。わたしと同じ現職参加なので、3月中に急いで準備をして、4月からまた日本の小学校で先生として働いています。わたしも一年後、そんな日が来るのだなぁ・・・としみじみ思いました。先ぱい隊員のように、「やり切ったぞ!」と晴れやかな表情で帰っていけるように、残りの任期を全うしたいと思います!

さて、協力隊員が活動をする上で必ずと言っていいほどつき当たるかべが、「3大ない」の「物がない」、「人がいない」、「お金がない」です。小学校の現場でも、「もしこれがあったらなぁ・・・。」と思うことがたくさんあります。今回は、そんな「物がない!」ときにどうやって対応しているかをしょうかいします。

一枚目の写真は、2年生の「重さ」の授業の様子です。授業で使えたはかりは、25人近くいるクラスで、たったひとつ。「一人ひとりが参加する授業にしたい」という思いは、いっしょに授業をしたカウンターパート(仕事のパートナー)の先生もわたしも同じでした。「あぁ、せめてはかりが6つあったら、グループでものをはかれるのになぁ。」とわたしはつい考えてしまっていたのですが、カウンターパートの先生が、すごいアイディアを出しました。

1.問題の出し方を工夫する

教具が十分にないと、見ている時間が多くなるので、授業にあきてしまうことがあります。だから、カウンターパートの先生は、子どもたちに、こんな風に指示を出しました。「小石の方が重いと思う人は、教室の右はじに、クリップボケースが重いと思う人は、教室の左はじに移動しましょう。」子どもたちは、うれしそうに立ち上がって考え始めます。

かたずを飲んで、見守る子どもたち。いい表情をしていますね。

結果は・・・、小石が重い!予想が当たると、子どもたちは大喜び!こんな風に、かん声が広がる教室のふんいき、わたしはとっても好きです。

その後に、水を注いで、ブロック何個分になるかを考える問題を出しました。ここでもまた、アイディアが。

2.みんなで役割を分担する

1、2、・・・と数えるときに、ブロックを一人一個ずつ、はかりに乗せていくよう、カウンターパートの先生は指示を出していました。

何だか、運動会の玉入れの数を数えているみたいでした。ほとんどの子は、ブロック20個分や、50個分などと見積もっていたのですが、実際は104個!水ってけっこう重いんだね、とみんなでびっくりしました。

こんな風にして、物が不足していたとしても、工夫を取り入れながら、よりよい授業を考えています。それにしても、カウンターパートの先生のアイディアは、本当にすごいなぁと思いました。「現地の先生に指導・助言」がお願いされている要請内容ですが、わたし自身も、現地の先生たちに、「なるほど、こう考えればいいのね!」と新しいアイディアをもらうことが多いです。だから、最近は、もともと先生たちがもっているよさを引き出して、「やっぱりそれって大切だと思う!」と再確認するのがわたしの役目なのかなぁと思うようになりました。先生たちは、自分たちが今、大切な指導をしていることに、気づいていないことがあります。

今回、例えば子どもたち全員が立ち上がって、教室を移動するように先生は指示を出していました。この、「立ち上がること」を授業の中に取り入れることで、子どもたちの切りかえ、気分転かんができていたこと。特に、座っていることが苦手な子にとって、「立っていい機会」が得られるのは、とっても大切なことです。

また、「水はブロック何個分か」を考えた問題は、算数・数学的に、とっても意味のあるものだったということ。なぜなら、「どちらが重い」から、「どちらがどれだけ重い」という次の段階に、進んでいるからです。

現地の先生たちが、ある時、「無意識」に行っていた大切な指導を、次の授業では「意識」して行えるように、働きかけていきたいです。

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