2016/02/27 Sat
活動
広がる思い
前にしょうかいした「放課後音楽・図工クラブ」
先週は、全5回プログラムの、最後の回。せっかくの機会なので、同期のポンペイ環境隊員とコラボレーション企画をしました。楽しんで工作することに加えて、リサイクルについて考えるきっかけになれればとの思いで考えたプログラムです。今回、子どもたちがペットボトルで作っているのは、けん玉。必要なものは、空のペットボトル2本、キャップ、糸、テープ、はさみ、カラーペン。テープやカラーペンは十分にないので、シェアしながら使いました。作業に取りかかると、子どもたちは熱中してそれはそれは楽しそう。やっぱり、どこの国でも子どもたちは図工が大好きですね。
とちゅうで、4年生の先生がふらっとやって来ました。「ちょっとクラブのようす見ていい?」大かんげいです!子どものけん玉を借りて、先生もちょうせんしてみることに。なんと一発目で成功!子どもも先生もうれしそう。
最後に、クラブの修了証(しゅうりょうしょう)を渡して、無事全てのプログラムを終えることができました。終わってみて、なんだか大きな充実感。正直、クラブを立ち上げたときは、「自分ひとりでやることになったとしても、それはそれでまぁいいんだ。」という気持ちでのぞみました。
ふだん、わたしたち隊員は、見えないプレッシャーを背負っているのかなぁと思います。それは、わたしたちがここにいる目的が「技術移転(ぎじゅついてん)」だからです。例えば、わたしの場合は、「ポンペイのよりよい算数のじゅ業づくりにこうけんすること」。わたしが自分で、自分のやり方で、ポンペイの子どもたちに算数をばりばり教えて、もし子どもたちの学力がぐんとのびたとしても、それはわたしがいる間だけのもので終わってしまいます。そうではなくて、ボランティアが大切にしていることは、わたしたちが帰ってからも「ここに残るもの」をつくること。だから、現地の先生たちと力を合わせて、いっしょに教えながら、どんな方法がいいのか考える。これは、世界中にいる隊員が共通してもっている思いだと思います。ただ、「ここに残るもの」って、言うのは簡単だけれども、実際にやってみるのは全然ちがう。来てみて、本当に思います。だって、今までのスタイルがもう先生たちの中にあって、今までそのやり方でやってきたのだから、それに「何か」をプラスするのって、ものすごく勇気がいることだし、簡単なことではない。そして、最近気づいたのは、算数隊員として来ているわたしは、算数のことだけ考えていればいいけれども、現地の先生たちにとっては、もちろん算数だけじゃなくて他の教科も教えているし、学校のこと、家庭のこと、いろいろなことを考えている。ひとによって、大切にしているところもちがう。だから、わたしの算数の活動は、現地の人たちの生活の中のほんの一部分にすぎません。そんな限られた中でできることを、何かひとつでも、0.1でもいいから2年間の中で探していく、それが協力隊員なのかなぁと思います。これがなかなか、気持ち的に辛くなることもあります。「無力感」を味わうからです。
今回のクラブでは、そんな気持ちを全部いったんとっぱらって、「要請内容にはないものだし、腹をくくってとにかくみんなで楽しめればいい!もし、だれかと力を合わせられたら、ラッキーと思う気持ちでいこう!」そういうスタンスで始めたものでした。
けれども、最初小さな空き部屋で始めたクラブを見て、「わたしの広い教室使いなさい!」と声をかけてくれる先生や、子どもたちへの説明の時、英語をポンペイ語に訳してくれる先生、わたしにない専門的な知識を、わかりやすく子どもたちに説明してくれた環境隊員など、いつの間にかいろいろな人が集まって、ひとりじゃできないことがたくさんできました。
とにかく「楽しむことが一番!」がモットーだったこのクラブ、子どもたちが喜んでくれたのはもちろんうれしいですが、何より自分が一番楽しんでいたような気がします。「ひとりでもやる!」そんなスタンスだったからこそ、何も言わずに手を差しのべて協力してくれた人のありがたさに、ただただ素直にかんしゃしたし、意図したつもりはなかったけれども、いろんな人にわたしの思いが広がっていった感じがしました。
きっと、メインの算数の活動でも、こんな心のもち方が、のちのちよりよい活動につながっていくのかなぁと思いました。これまで、変に気負って、無意識に不満をためていたような気がしたからです。「現地の先生といっしょに!」そんな思いが強すぎて、わたしの活動に協力してくれることを、無意識に当たり前のように期待していたのだと思います。
「不満」の気持ちって、「相手」に対して感じることだと思っているけれど、もとをたどれば、相手にそうしてほしい、そうしてくれるはずだと「期待」している「自分」が感じていることなんだと思います。今回のクラブで、そんな不満の気持ちが一切わかなかったのは、「自分」の心がそう思わないしくみをつくっていたからです。算数の活動でも、そんな心で取り組もうと思いました。不満をもちながら何かをやっている人に、だれも近づきたくないし、ただの恩着せがましい人なだけになってしまいますからね。楽しんでやります!
さて、全5回の放課後音楽・図工クラブは修了したわけですが、来週から、また次の学年がスタートします。今度は7、8年生!またちがった反応がありそうで、楽しみです。
余談ですが、このクラブの名前は「Ihaiia(ヤーヤ)」といいます。ポンペイ語で「にじ」という意味です。わたしはとっても気に入っているのですが、現地の先生から、「何でピヤーヤクラブっていう名前にしなかったんだ?」と言われてしまいました。ピヤーヤとは、韓国のチジミのようなあげものおやつ。食いしんぼうクラブではありません。
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