JICA海外協力隊の世界日記

アンデスの田舎町から

学校休暇の課外コース 料理教室

一年前の話になりますが、学校の長期休暇の課外コースの手伝いで、園芸栽培のクラスに出ていたことがあります。クラスは市街中心地だけでなく農村部のコミュニティでも行われ、週に1~2回それぞれの場所を訪問していたのです。野菜の植えつけ作業などで子供達と接するうちに、たまたまお箸の話題になったのですが、皆がとても興味をもっている様子だったので、少し時間をもらって箸の持ち方を教えることになりました。去年まで町に唯一あった中華料理屋でさえ箸を置いていなかったぐらいですから、皆馴染みが無く、テレビなどで見た寿司やラーメンを食べるシーンが気になっていたに違いありません。町のスーパーにも箸は見当たらないので、バーベキュー用の串を利用して子供達の箸を作り、箸の持ち方の図解と日本の食文化などを紹介する資料を用意して教えました。今年も機会があるかもしれないと思って、再び50本近くお箸を用意して機会をうかがっていたところ、料理担当の先生から快い了解がもらえて実施することになりました。箸作りに関してはすでに相当数を作ってきましたので、手作りながらある程度量産できる工程ができてしまいました。下の写真は作成中の様子で、家の中庭で塗装して乾かしている所です。

当初は30分ほど時間をもらって箸の持ち方だけを教える予定だったのですが、前日になって箸を使って食べれるパスタ麺を使った料理が作れないかということになり、焼きそばにしました。子供達から“ラーメン!”との声があったのですが、スープの入ったものは慣れないと難しそうだし、たくさんの人数分を作っているうちに麺が伸びて不味い記憶を子供達に与えたくなかったのです。

それらしいインスタント製品は売っていないし自分で作ったことが無かったので、事務所でインターネットでレシピを調べ、帰りがけに豚肉やキャベツ、玉ねぎなどの材料を買い、家に残っていた地元の手作り麺で作ってみました。 醤油とオイスターソースベースのあんかけ中華風焼きそばなのですが、食べてもらえそうな仕上がりになって少し安心します。ベッドに入ってから翌日の状況を思い描いているうちに、料理教室だから作り方を教えないといけないと思いあたり、朝早めに起きて配布するためのレシピを作りました。それを朝8時から始まる教室に間に合わせるために、事務所に寄ってコピーして急いで持って行ったのです。

焼きそばレシピ.jpg

料理教室は時間を変えて2クラスあり、先に行う年少組(6~11歳)には15名前後参加していました。 去年、試行錯誤の末編み出した箸の教授法に基づいて、繰り返し自分の手で箸を持ちながら説明します。まずは正しい持ち方を知ることで、箸が指にあたるポイントに注意しなくてはいけません。正しく持てるようになったら、次に箸の先でカチカチと音を出すように動かします。ここまでできたら、実際に物をつまむ練習です。 動物の形をした小さなビスケットを器に入れて、「箸だけを使って食べて下さい」と言うと、一斉に器に箸が突っ込まれます。ちゃんとつかめた子が“プロフ(先生)!”と呼んで見せてくれました。あっという間にビスケットが無くなり、次に少し難易度を上げるために砂糖をまぶした小さなピーナッツをいれました。そして仕上げの練習として、コーティングをしてツルツルしたガムを使いました。

嬉しそうに箸を動かして見せてくれる子がいる一方で、いい加減な持ち方でつまんで喜んでいたり、箸の太さとあまり変わらないくらい細い指をした小さな女の子は正しく持つこともできずに、残念そうな顔をしていました。 一通りの練習が終わってから、去年作った図解資料を配ります。資料に箸の持ち方を収めたビデオの情報も載せてあるので、お父さんお母さんにもビデオを見せて教えてあげるように伝えました。もしどなたかスペイン語圏に行く機会があれば、ぜひこれらの資料を使って現地の方に教えてあげて下さい。

お箸の持ち方を教えている間に、料理の先生には事前に渡したレシピを参考に、下ごしらえを進めてもらっていました。しかし様子を見るとだいぶ苦戦しているようです。まな板を使わずにニンジンを手に持って切ったりしているので、自分のイメージと違う出来栄えです。 そこで子供達には復習してもらうことにして、自分も調理作業に入ります。実はもともと心配だったので、自分も手伝うつもりで家からまな板と包丁を持って来ていました。早速、まな板の上でトントンと人参のカットに取り掛かります。料理の先生に比べると、おそらく5倍ぐらい早くかつ薄くスライスしていたので、隣で先生がポカンと見ているのがわかりました。私の参加で先生も少し元気が出てきたようで、肉の準備に取り掛かりました。 豚肉の細切れ以外に、鶏肉も買ってありそれは丸一羽の大きな塊でした。 しかし上手に身を切り取っているようで、これについては捌き方を教わりたいと思いました。 こんなにたくさんの調理を行うのは初めてで、調味料も目分量で不安でしたが、昨晩に近い味つけになったような気がしました。 お皿に盛り分けてから、皆の待っているテーブルに運びます。 お世辞かもしれませんが、子供達が美味しいと言って残さずに食べてくれたのでうれしかったです。 でも自分も一皿食べたのですが、麺が茹ですぎていて、お酢が少なかったことに後から気が付き、もっと美味しくなることを知ってもらいたかったなと少し悔いが残りました。

授業風景.jpg

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