JICA海外協力隊の世界日記

アンデスの田舎町から

パレード その2(合気道の道着)

私の家は茨城県つくば市にあって、こちらに来るまで10年ほど合気道を習っていました。少し合気道の宣伝になってしまうようで恐縮ですが、近くの岩間という町には創始者の植芝守平が開いた道場があります。道場の隣には合気神社があって、大祭が行われる前にはボランティアとして草むしりを手伝ったりしてました。

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合気道は日本よりも外国の方が人気が高いかもしれません。熱心なファンが私の先生の所にも弟子入りに来るので、よく一緒に稽古をしました。大祭の時にはたくさんの外国人がこの合気神社に集まってくるので、岩間は合気道のメッカと言われています。そしてアメリカ、フランス、スウェーデン、アルゼンチン他、多くの国で日本で修行した合気道家が道場を開いています。そんなこともあって、もしかしたらエクアドルにも道場があるかもしれないと思い、道着(どうぎ)を持ってきたのです。しかし、いまだに見つからずクローゼットの中に埋もれていたのですが、よく手伝いで参加しているパレードに着ていったら喜ばれるのではないかと、ふと思いつきました。

パレードではそれぞれの町がコスチュームに工夫を凝らして参加します。民族衣装をベースにしたものが多いのですが、目立たせるために派手な色遣いや飾り付けをしています。一方、合気道の道着は白の上着と黒い袴でとても地味なのですが、実際に着てダンサー達に混じるとかえって目立ってかなり視線を感じました。日本にいても街中を道着で歩いたら目立つと思うので当然かもしれません。別の町のダンサーから「マーシャルアーツをやっているのか?」と聞かれたり、見学者から一緒に写真を撮るように求められたり、突然お酒を勧められたりもしました。

ところでエクアドルでは東アジア系の中で中国人が圧倒的にたくさん住んでいるので、初めて出会った人からは、良くチーノ(中国人)と声を掛けられます。日本、中国、台湾、韓国、モンゴルなどの人種の見分けはつきませんし、こちらの人にとってはどの国であろうとどうでも良いことでしょう。なので、アジア人の代表として印象を良くすることが大切だと思って、いつも笑顔で手を振ることにしています。ただ、中国人を含めアジア系人種の人口の比率はかなり低いので、初めて街中で出会うとその人の表情が少し硬直するのがわかります。服装では区別がつかず顔つきだけが他と違うので、騙されて警戒するような緊張感があるのでしょう。しかし道着を着ているときは違います。衣装を見てから勘を働かせながら視線を顔に移すので、やっぱりそうだと納得している感じで、逆に笑顔が返ってきます。今回はたくさんの人から手をふってもらったり、親指を立てたグーのサインをもらいました。道着の肩には赤いフェルトを丸く切って縫い付けておいたので、国籍も分かって更に良かったのかもしれません。

パレードではダンサー達の先頭に立って、私の町パタテの絵ハガキやパンフレットを配るのが役目でした。パタテ名産のミカンを配ることがあるのですが、ミカンと同じように一人に渡すと周りの人も欲しそうな顔をするので、人を選ぶのが難しかったです。ただ少なくとも渡す人には良い印象を与えようと、微笑みながら視線を数秒合わせるようにしました。そして奥の人にも手を振ったり笑顔を振り撒いて、日本のアピールに努めた次第です。 

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