JICA海外協力隊の世界日記

Dive into Jamaica

2年目で見えたジャマイカの環境保護と挑戦の続き

みなさんこんにちは、

最近、職場でダイビングの講習があったんですが、「パニックダイバーの振りをしろ」と言われたのでとりあえず「サメだー!助けてくれー!」と叫んで水面で暴れてみたのですが、なかなかの演技だったと褒められました。全く嬉しくないですね。ちなみに私の職種は協力隊の募集要項に「ダイビングライセンスアドバンス以上が必須」という一風変わった募集です。海の業務が半分以上占めたので、確かにある程度の経験は必要だったなぁというのが正直な感想です。

今回は前回の続きです。

ジャマイカの水産開発隊員として活動して大きく感じたのは発展の素地があるという事は素晴らしいということに尽きます。日本では感じることが出来ない、「国が若い」という感覚です。国が若いというのは何も独立して日が浅いという年数的な事だけではなく、目に見える成長が存在するというのが体感できる事です。もちろん成長に伴い多くの弊害が伴います。特に顕著なのは、法の未整備(無軌道な沿岸開発)やモラル(密漁・過剰な漁獲)・教育(ゴミのポイ捨て・不法投棄)といった観点でしょう。

大洋州のように伝統的に地先の海を管理するという当事者意識があれば、ジャマイカの水産資源管理はもっと楽になるのにと思う事は多々ありました。しかし、同時に若さと勢いをジャマイカの漁業には感じます。

前回の話に戻りますが、これから先にジャマイカで資源管理を行うならば、サイズ制限や禁漁期・禁漁区はやはりジャマイカでは難しいかもしれません。しかし、これから先にジャマイカで発展が見込めるのは代替的な金銭収入でしょう。ここでいう金銭収入というのは、「観光業」です。というのもジャマイカにはアメリカ・ヨーロッパからの観光客が多く訪れ観光業で多くの方が収入を得ています。つまりジャマイカでは観光業に伸びしろがまだ十分にあります。

観光と漁業を結びつけるのは変かもしれませんが、私はエコツーリズムの発展性が大いにあると思っています。特にマングローブ林やサンゴ礁域におけるエコツーリズムの市場価値は非常に高く、現在ボートの貸し出しを行なっていたりする漁業者もいますが、数は少ないです。美化や定期循環を行なって質を保てば素地は十分でしょう。

写真はジャマイカでもMPA(海洋保護区)のマングローブ地帯です。ここまで美しく保たれているマングローブ林はすごいと思います。

漁村で行なっている小規模漁業の観光開発は前回に述べた「漁民の地位向上」に大きく繋がる内容です。これから先も漁業資源に関わっていくのはアウトサイダーである私ではなく、漁民その人なのです。その彼らにとっての漁業資源の在り方を変えるのはおそらく不可能でしょう。殊の外、金銭収入を損なう可能性のある事は誰しもがやりたくないはずです。

そういった事から、私はジャマイカでのエコツーリズムの可能性を大きく感じています。またこれも全て国や人がまだ若く挑戦に意欲的な事が私をそう思わせます。ジャマイカは現在経済成長とともに大きな変革の途上にいます。これは避ける事ができない変革で、それにより蔑ろになるものも多いです。その中には発言力の弱い社会的弱者であったり、そもそも物言わぬ自然が含まれてしまうかもしれません。水産開発と環境に携わる者としてはこういう事柄に深く関係していく場面がありました。

安定した金銭収入を持った漁民が環境に配慮した持続可能な漁業ができるようになる事こそ、ジャマイカの水産開発ひいてはジャマイカの発展に寄与できるゴールなのではないでしょうか?その理想のために、私たち青年海外協力隊の活動はあるのだなと思います。コミュニティに寄与しつつ彼らの自助努力を促すのは非常に難しいですが、これからの国だからこそ、やりがいを感じます。

もし私がそういった活動にまた貢献できる日があるとするならば、こういった感情を忘れないようにしたいですね。写真は去年の独立記念日の式典の一幕です。老若男女が皆、熱気に包まれていました。

青年海外協力隊の一隊員として過ごした2年間で私はジャマイカの良き隣人として活動する事ができたのでしょうか?最近はそういう事をふと考えてしまいます。

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