JICA海外協力隊の世界日記

Dive into Jamaica

2年目で見えたジャマイカの環境保護と挑戦

みなさんこんにちは、

とうとう帰国まで30日を過ぎて、色々感傷みたいな感情が出てくるのかなと思っていたのですが、そこまで深い感想は出てこず、「2年はやっぱ730日だなぁ」という感想で至極真っ当な感じで過ごしています。ここにくるまでは実家を離れて10年以上一人暮らしをしていたので、そういう意味では耐性が出来ていたのかもしれません。

ジャマイカで平穏無事に2年間生活できたのは何も自助努力だけでなく、JICA事務所や近所の人たち、職場の同僚・友人などの協力があってのことだと思います。この場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました。

ちなみに写真は仕事先の最後の潜水業務の写真です。スズメダイのサンプリングとミノカサゴ駆除でした。

水産開発という観点からジャマイカで活動できたのは非常に幸運だったと思います。このブログのタイトルである「Dive into Jamaica」の名前の通りジャマイカの一つ深いところからレポートできたでしょうか?

ジャマイカは現在、発展の真っ最中で首都を中心に成長を続けています。水産分野で関連する挑戦は超大型ホテルの建設と港湾設備の拡充がおそらく今後の課題になることでしょう。特にホテルは海岸沿いに建設することが多いのでそれに伴う環境負荷が大きく懸念されます。特に、アマモなど海草は開発の影響を大きく受けるので海草の減少に伴う砂浜の減少は避けられないかもしれません。また、下水の整備や農業排水の浄化などを行わないと富栄養化した海域におけるサンゴの疾病が頻発することも予想されます。あとは、海洋酸性化(Ocean Acidification)によるサンゴ・甲殻類や棘皮動物といった生物の発生に大きく影響が出てくることでしょう。

港湾設備よりもそれに伴う船舶の出入りが個人的には気になります。クシクラゲやSnow Flake Coralなど現在ジャマイカの海洋生態系にそこまで影響を与えていない生物もいますが、ミノカサゴのような実際に問題になっている外来種の増加があるのではないでしょうか?(厳密にはカサゴは観賞魚の不法投棄が原因と言われています)恐らくあるとするならばワカメなどの藻類やイガイ(ムール貝)が予想できます。

かるーく考えただけでもこれくらいの問題が存在するんだろうなぁと思います。

現在ジャマイカのみならずカリブ海全域で起こっている問題は密漁や過剰な漁獲などがあります。漁師と話す機会があると大方の漁師は「前と比べて魚が小さくなった」と言います。違法漁業や過剰な漁獲は生物資源の問題のみならず社会やモラルの問題だとジャマイカで暮らして痛感しました。

良い面としてはCOP25も開催され、気候変動に関する懸念も世界的に高まってきています。若い世代の人達も情報や意見を発信し、まさしく情報化時代の真骨頂といったところですね。ただ、個人的に思うのは、環境保護に行動できるのはやはり先進国なんだなと思います。ジャマイカは発展途上国ではなく中進国であるとは思いますが、格差や社会保証など、まだまだ挑戦しなければいけないことが多いと思います。もし、私がジャマイカ人で環境保護活動を行うとするならば、まず取り組むのは漁民の社会的ステータスの向上に勤めると思います。現在のジャマイカにおける漁民の立ち位置は残念ながら底辺に近く、彼らの唯一の生命線である水産資源は「獲る漁業」に依存しています。そのため漁業資源を環境保護のために取り上げたり規制をかける事は現実的ではありません。

ではどこから取り掛かればいいか?

そこで私の出した答えが、「漁民の地位向上」です。コミュニティに根ざした活動をしないと持続性はありえないと思います。そこからスタートしないと資源保全や生態系保護に向かえないとジャマイカで暮らして思いました。自然環境を守りつつ、そこで暮らしている地先の人が安定してい生きていくためには彼らの「漁業資源を増やす努力」と「自然環境を守る努力」が継続して必要です。ジャマイカではそういった部分は本当の意味で挑戦ですね。規制を前提に置いた活動をしている現在の風潮は少し勇み足なのかなと思ってしまいます。これは少し難しいですね。規制をかけたり、新技術を投入すれば恐らく環境は改善されるかもしれません。しかし、そこで働いている弱い立場の人間はどこへいけばいいのでしょうか?恐らく、必要とされなくなり、追い出されるでしょう。そういった人達がジャマイカでは漁民になりかねません。環境を保護するために人を守らないのは愚の骨頂です。うーんこれは難しい…。考えれば考えるほど、ドツボにハマる内容ですね〜。

次回はもうちょっと楽しい話を書こうと思います。

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