JICA海外協力隊の世界日記

Dive into Jamaica

マングローブ調査で見てしまう物

みなさんこんにちは。

日本にいた時はコーラとコーラグミが夕食だったのにジャマイカへ派遣されてから自炊を始めて健康的な生活を送っています。甘党兼、偏食家な私の悪癖は残っているので、近所の売店で売っているチョコマフィンを買い込んで休日に朝・昼飯の代わりにモサモサ食べています。結構な量を食べているので、「ディスカバリーベイにおける住人一人当たりのマフィン消費量」を一人で更新しているような気がしてなりません。とうとう売店のおばさんから「マフィンマン」のあだ名までもらってしてしまいました。そんな12月です。

という事で今回は前回紹介した、ジャマイカのマングローブ林でよく見かける物の後半です。正確には見かけてしまう物ですが…。今回は特にマングローブに人がどのような悪影響を与えているかを紹介していこうと思います。

まずは1枚目の写真の通り大量の粗大ゴミです。不法投棄を取り締まるのは非常に難しく、またゴミのポイ捨てに関するモラルも日本と比べると非常に低いです。電化製品から生ゴミ・プラスチック製品などの家庭ごみや鉄線などの鉄くず、果ては車まで多種多様なゴミがマングローブ林の入り口やその奥に捨てられています。

特にペットボトルやプラスチック製の袋は多く見られており、個人的に最も警戒すべきゴミだと思います。大量に投棄され、風や水に流れやすく一度引っかかったらそのままマングローブに付着してしまうからです。

こういったゴミはそもそも分解に100年以上かかり、物によっては半永久的に残存してしまいます。マングローブ林においてこういった物がマングローブの成長を妨げたり、その生息環境に必要な水の循環を止めてしまいます。

ジャマイカではマングローブの植林プロジェクトで150万円ほどの資金を使った事があります。しかし、その中の70%がゴミ拾いに関わるお金に消費されたと聞きました。人口の多い沿岸域は特にこういった影響を多く受けるため、ゴミ問題は特に深刻です。

次の写真は燃え痕が見えますが、これはマングローブ林の脇道における炭焼きの跡です。マングローブは非常によく燃え良質な燃料として使えます。その為違法に伐採したマングローブをその場で燃やして木炭にする事がジャマイカではよく行われています。燃やしたカスはこの通りそのまま放置され、地面に文字通り「汚点」を残していってしまいます。

最後の問題はこの写真に写っている家と手前のバナナの木です。ここは国が定めた保護区のマングローブ林の中にポツンと立っていました。つまりは違法建築です。家の中から爆音で音楽が流れ、玄関には明かりが灯っていたのでどこからか電線を勝手に引いてマングローブ林を勝手に耕しバナナの木を植えて住んでいました。

流石にここまであからさまなのはこの一軒しか見かけませんでしたが、保護区に隣接している道路では立派な家も実は違法建築だったというのは少なくない話だそうです。

また、海沿いの街や漁村でゲットーが立ち、国有地を勝手に開発してゴミの不法投棄や伐採などをおこっなっている光景を最近目の当たりにしました。市役所とマングローブの植林についてのミーティングだったのですが、私の職場の方がそれ以前の問題だと憤っていました。

現在、世界中で行われているマングローブの植林プロジェクトは大方うまくいっていないそうです。その理由の一つにただ木を植えているだけという現状があります。居住区画に隣接しているマングローブ林はこのようなゴミなどの影響を強く受けてしまいます。単にマングローブを植えても枯死する事が多く、その途中に必要なメンテナンスに非常にお金と時間がかかります。

マングローブは植えれば育つものではなく、植えてから手間暇をかけて成長するものです。それを理解せずにただ植えるだけ植えてしまっても枯れてしまい全て徒労に終わってしまう場合があります。個人的な意見としてコミュニティが自発的にその地域の保全をしない限り、持続するのは難しいと思います。というのもプロジェクトの資金が尽きてもそのメンテナンスを行うのは地元の人間の善意に頼るしかないからです。

このような多くの問題を抱えたマングローブ林ですが、学ぶ事が多く仕事の中でも特にやりがいのある仕事だと思っています。自然と付き合う事が多い職種上、多く考えさせられる一幕です。

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