JICA海外協力隊の世界日記

Dive into Jamaica

沿岸清掃と統計学

みなさんこんにちは、

色々な人に「ジャマイカ住んでどのくらい経つの?」と聞かれ、「もうすぐ2年だよ」と答えるようになりました。そういう所から一抹のさみしさが滲み出てきます。日本で色々な友人から「億人の事だから心がボッキリ折れて2・3ヶ月で帰ってくるんじゃないの?」と言われていましたが何とかやっています。
心はよくボッキリ折れているので、勝負に勝って試合に負けた感じですね。
9月の第3土曜日はみなさんご存知のICCD(International Coastal Cleanup Day)です。今年もフィッシュポットをわんさか取ってまいりました。今回はちょっと深いところを取りに行こうという事で大深度潜水に挑戦してまいりました。大深度潜水とは水深30mよりも深いダイビングを主に指しています。いわゆるレクリエーションとしてのダイビングの限界が30mと言われているので滅多に立ち寄ることは出来ない深さです。

そこにもちらほら捨てられたフィッシュポットがあります。陸のポイ捨ては拾うのは容易いですが、海のポイ捨ては見つけるところから一苦労です。最深は水深47m。怪獣に例えると大体初代ゴジラ(50m)やケムジラ(成体)と同じ高さです。そこからフロートをつけて一気に浮上させます。
固着生物の様子からかなりの年月が経っているように見えました。しかし、未だにその形態を保っているのを観ると、ゴーストフィッシングを引き起こしていたかもしれません。恐らくこのようなフィッシュポットが及ぼす被害はジャマイカでは計り知れません。
まず、「どの位のフィッシュポットがジャマイカで存在し、毎年どのくらい作られて、捨てられているか」を把握して、そこから予測しなければいけないと思います。このデータから予測する事で毎年あたりの廃棄フィッシュポットの回収目標が立てられると思います。
個人的な感想として、ジャマイカの致命的な点は統計学の専門家が少ないということを感じます。統計に強い専門家が多ければ、現状把握や科学的に確からしいデータに基づく予測が立てられるのですが…。

パラメトリック・ノンパラメトリックといった統計学の基本をおさえた上でジャマイカで活動すればよかったのですが、私は得意ではありません。もう少し勉強しておけばよかったとこういう時に思います。ジャマイカの研究所では水温や、DOなどの水に関する基礎データの回収はよく行っていると思います。それ以外にも、外来種ミノカサゴの胃内容物データや捕獲データも場所によってはきちんと保存されています。
重要なのはここから「どういった統計処理で結論に導くか」ということに尽きます。特に、フィッシュポットや外来魚など、明確にターゲットが設定されていた場合、それに関する管理計画は統計処理方法やデータ採取法などがあらかた決まると思うので問題は誰が音頭をとって進めていくかですね。
こちらの方の国民性的に長期計画と綿密なプランニングは得てして不向きかなと思います。情熱と根気と予算が持続すればジャマイカは研究のフィールドとしては非常に面白いと思います。
ここからは資源管理手法の話が出てきますね。
この話になると長くなるので次回に続きます。

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