2025/09/19 Fri
まとめ
【62】明日も明後日もきっと晴れ!

アッサラーム アライクム!
帰国から半年が過ぎ、身も心も少しずつ日本に馴染んでいく中で、エジプトでの2年間がどんなものだったか、ふと考えることがあります。
ー価値観は変わった?
「価値観が変わる」という表現があります。
特に、「海外へ行くと価値観が変わる」といったことをよく言われます。
私も、エジプトで2年を過ごせば、価値観が変わったりするんだろうなと思っていました。
それが、私の場合、案外そうでもありませんでした。
別に変わってはない。ただ、増えたなと思う。
「価値観が増えた」 これなら、とてもしっくりきます。
「これが、エジプトの当たり前だ」「これが、私達のやり方だ」と言われて、
共感できないことがありました。賛成できないことがありました。
でも、理解することはできました。
「は!?!?」「ふざけるんじゃないよ!!」「なんでそうなるんや!!」とは思うけど、
「そういう考え方をしているのね」「そういう見方があるのね」と知ることはできる。
それまで自分の中にはなかった世界に触れ、知っていることの幅を広げることができました。
だから、価値観が変わったではなくて、「価値観が増えた」と私は言いたい。
真っ先に浮かんだ例。
ごみのポイ捨ては、やっぱり許せない!
でも、どうして彼らがポイ捨てをするのか、その背景にあるものなんかを理解することはできる。(断固として、共感も賛成もしないけどな!!)

ー新しい自分に出会った?
どんなことでも、やってみる。面白がってみる。
やったことないから・・・得意じゃないから・・・日本人だから・・・じゃない!
「郷に入っては郷に従え!」という気持ちで過ごすように心がけてはいました。
そのおかげで、「やってみると、意外と楽しいな」「あれ、苦手と思っていたけど案外できるやん」と思うことが結構ありました。
日本(特に慣れ親しんだ環境)にいると、私のイメージみたいなものが出来上がっています。
「田辺さんは、こんな性格の人」「田辺さんなら、これはやらないだろうな」「田辺さんって・・・」
周りの人が私を知ってくれていることで、いいことがたくさんあります。
一方で、知られているからこそ、自分のイメージに縛られてしまうなんてことも起きてしまいがちです。
それが、エジプトでは、皆無!
私のことを知っている人なんて、誰もいません。
何をしても、「これが、ハルカ!」になる。(これが日本人、ともなるので、言動には本当に気を付けないといけないけれど・・・)
「私は、こういうの嫌いだから!」「日本人は、こういうことしないから!」と思うことももちろんあったけど、そういうことも含めて割と楽しんでいました。
結婚パーティーに幾度となく呼ばれ、毎回爆音の中で踊りました。
綺麗とはお世辞にも言えない(というか普通に汚い)座席、平気で座れるようになりました。
運賃をぼったくられそうになった時、「いつもはもっと安い!私はエジプト人じゃないけど、ここに住んでいるから知っているんだよ!」と言ってやりました。
日本にいる田辺さんなら、できそうにないことばかりです。
これは、私の新たな一面なのか、それとも、元々私の中にあった要素?が出てきただけなのか・・・
エジプト仕様の私、結構強く生きていました。

ーみんな違って、みんないい?
金子みすゞさんの詩の一節。「みんなちがって、みんないい」
本当に、実感する日々でした。
エジプトは、日本とは何もかもが違うような国でした。
日本では見ることのなかった、聞くことのなかった、知ることのなかった、感じることのなかった、考えることのなかった、そんなもので溢れていました。
どっちがいいとか悪いとか、そういうことではなくて。
違うというのは、どちらかが間違っているということではなくて。
違うから、面白い。
違うから、知ろうとする。
相手の話すアラビア語が分からなくて、私の言いたいことが伝わらなくて、つらい時もありました。
どうして、話す言語が違うんだろう。同じ言語なら、スムーズにやり取りできるのに。
そう思いかけて、でもそれはそれで面白くないか、と思い直す。
もしも、世界中のみんなが、同じ言語を話し、同じ物を食べ、同じ文化で育ち、同じ顔立ちで、同じ町並みに住んだなら。
楽なことが増えるかもしれません。今ある障壁が低くなるかもしれません。
でも、つまらなさそう。
違うって素敵だよなあ。
エジプトにいた時、周りのエジプト人は、私とは「違う」んだと思いながら過ごしていました。
「違う」こと前提で関わる。
だから、自分の考えと違う人がいても、まあそんなもんだよね、と思う。
逆に、同じ何かを見つけると嬉しい。ぐんと距離が縮まる。
それが、日本にいると、「同じ」こと前提で関わっているような気がしてなりません。(批判ではなく!)
同じ日本語を話すし、同じ文化の中で育っているのだから、分かるでしょ?という感じ。
「同じ」だと思っているから、自分と違う何かを見つけると、どうして?となってしまう。
本当は、みんな違うのになあ。
同じ日本人だとしても、みんな違うんだという前提で物事を見ると、もっと寛容になれそうです。(自分に言い聞かせている)
『価値観が増えた!』『知らなかった自分に出会えた!』『違うって素晴らしい!』
エジプトでの2年間のおかげで、私は明日からも笑って過ごせそうです。
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