2025/01/21 Tue
文化
【50】メリークリスマス!
アッサラーム アライクム!
タイトルから、12月25日の話だと思ったかもしれませんが・・・
年が明けて、1月7日の話です。
エジプトは、9割がイスラム教を、1割がコプト教というキリスト教を信仰しています。
コプト教のクリスマスが1月7日で、祝日になります。
私のアパートの大家さんは、コプト教徒です。
前日に連絡があり、「もしクエスナにいるなら、クリスマスのお祝いを一緒にしよう!」
家にいる予定だったし、こういうお祝いの時は家族(というか一族?)が集まるので、みんなに会いたい思いもあり、「いる!ぜひ!」
パーティは、夕方の5時か6時から始めるとのことでした。
しかし、7時になっても連絡がありません。
あれ、私、忘れられている?と思いかけた頃、電話があり、「準備できたよ!おいで!」
パーティの場所は、私の部屋の1階下、大家さんの両親(私はおじいちゃん・おばあちゃんと呼んでいる)の部屋です。
みんなで集まる時は、いつもここです。
(おばあちゃんは、料理のおすそ分けをよくしてくれて、何度この部屋に足を運んだか・・・!)
大家さん一家や久しぶりに会う人、初めて会う人もおり、挨拶して握手して。
最近、おじいちゃんの体調が優れず、部屋に行っても寝ていることが多かったですが、この日はみんながいる場所にいました。
「元気?」と聞くと「元気だよ」と返してくれ、声も明るかったし、顔つきも依然と変わらず安心しました。
「準備ができた」と言われたから来たものの、何かが始まる気配はありません。
まだ到着していない人がいるとのことで、お喋りをして待ちます。
みんなでご飯を食べるんだと勝手に思っていましたが、ご飯が出てくる様子もなく、お祝いって何をするんだろう?
この日は、アパートや近くに住んでいる家族だけでなく、カナダやイギリスから来た人もいました。(写真に写りきっていない人もいる)
彼らは、エジプトで生まれ育ったけれど、結婚や仕事で海外に住んでいる人たちです。
カナダもイギリスも、エジプトから近くはありません。
クリスマスのお祝いのため、家族に会いにはるばると帰って来たというのが、とても素敵だなと思いました。
小さな子どもには、大人からお金を渡している所も見かけ、日本のお正月のようだなと感じました。
何より、そんな大切なお祝いの場に私も招いてくれて、嬉しい限り。
少し時間が過ぎ、8時前。
男性陣が、ダイニングテーブルを動かし始めました。
どうやら、ご飯の時間のようです!(お祝いって何をするんだろうという心配は不要でした)
普段は、部屋の隅に置かれ、物置き場となっているテーブル。
この日は、たくさんの人が集まったので、大きなテーブルの出番到来です。
そして、次々と料理がやって来ました。
言葉通り、次々と、いろんな種類の料理が大量に運ばれて来ます。
大勢いるとはいえ、さすがに全部は食べきれないな、と食べる前から分かる程でした。
*アイーシ(パン)
*ロズ ビ シャーレイヤ(揚げたパスタと一緒に炊いたご飯)
*モロヘイヤスープ、チキンスープ
*バミヤ(オクラをトマトで煮込んだ料理)
*コフタ(肉団子)
*グラーシユ(パイ生地と牛ひき肉を重ねて焼いた料理)
*鶏肉、牛肉
これら全て、おばあちゃんの手作りだというのだから、びっくりです。
パーティが夕方からと聞いた時は、もっと早くから始めたらいいのに、なんて思いましたが、これだけの料理を作るのだから、そりゃ時間がかかる訳だ!
アイーシは、大家さんが買ってきてくれました。
町中でよく見かける、たくさん買った時に使う木枠に載せて運ばれてきて、思わず「写真撮らせて!」
どれも美味しく、たくさんの人と食卓を囲むことができるのは、本当に幸せでした。
そして、今回の食事で驚いたことが・・・!
ビールが出てきた・・・!
イスラム教では飲酒が禁じられているので、日本のようにスーパーでお酒が売られている訳ではありません。
外国人が多い町や大きな町では、酒屋がありますが、クエスナは小さな町なので、あるはずもなく。
隊員同士では、お酒を買ったり、お酒が飲めるお店に行ったりすることはあります。
でも、これまでエジプト人の友達や同僚の家で一緒にご飯を食べた時に、お酒が出てきたことは一度もありませんでした。
この日に出てきたビールの銘柄は、エジプトで一番有名なもので、驚くものではありません。
ただ、エジプト人の家庭で出てきたのが初めてで、少しびっくり。
「そっか、キリスト教徒だから、お酒飲んでもいいんだよね!」と言うと・・・
「基本的には飲まないんだけどね。今日は、お祝いで、ご馳走があるから特別ね!」と隣に座っていた大家さんの奥さん。
え、キリスト教徒は好きなだけお酒を飲んでいいんじゃないの?
基本的には飲まないの・・・?
私は、「好きなだけ飲んでいいと思っていたのに、基本的には飲まない」ということに驚いていました。
奥さんは、「飲んではいけないのに、今飲んでいる」ということに、私が驚いているんだと思っているようでした。
その後、話を聞くと、エジプトではキリスト教徒も基本的にはお酒を飲まないことになっている、お祝いなど特別な時なら少し飲んでもいい、とのことでした。
飲んでもいいお酒の種類も限られているらしく、ウイスキーはだめなようです。
宗教に関することなので、国や人によっても感覚は違うと思います。
あくまで、彼らの場合の話ですが、私が認識していたことと違っていて、勉強になりました。
特に宗教に関係することになると、外から見るだけでは分からず、中に入って初めて知ることがたくさんあるなと思います。
まだまだ、知らないことや誤解していることがたくさんあるんだろうなあ。
そんな訳で、みんながビールを飲んでいる貴重な光景を眺めながら、私も少しビールをいただきました。
食事の後は、お祝いの時に食べるクッキーが出てきました。(イスラム教徒にとって大切なラマダン明けにも食べる)
このクッキーは、大家さんの妹の手作りだということで、みんな料理が上手だなあと感心しきりでした。
そして、せっかくなので、この間妹が遊びに来た時にくれた日本のお菓子をあげることに!
ホームパイ、アルフォート、キットカットの抹茶味。
日本のお菓子ということに喜んでくれ、一番人気はアルフォートでした。
メリークリスマス!!!
翌日、学校では、コプト教徒の先生からチョコレートをもらいました。
(エジプトでは、おめでたいことがあった人にではなく、あった人からチョコレートを渡す)
改めて、おめでたい日に呼んでくれた大家さんたちに、感謝したいなと思いました。
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