JICA海外協力隊の世界日記

みんなの知らないインドネシア~スマトラ島・バンダルランプン~

セミナー「廃棄バイオマスを活用する!」

 8月下旬、配属先の管轄省庁である工業省主催のワークショップがここバンダルランプンで開催されました。このワークショップにはジャカルタの本省から研究開発セクション担当者のほか、配属先と同じ各地域の研究開発センター、ランプン州にある農産加工業、食品産業などからおよそ100人が集まりました。ワークショップのタイトルは「Workshop Temu Usaha Industri(製造業ビジネス会合ワークショップ)」、午前中は数名の講演者によるセミナーとパネル討論、午後は部門別に分かれてのグループ討論という形式で行なわれました。私は午前中のセミナー講演者の一人に選ばれ、派遣前の仕事内容も踏まえて、農産物残渣などのバイオマスの利活用、特にエネルギー原料としての利用について45分ほど話をしました(演題「再生可能エネルギー原料としての廃棄バイオマスの利用」、英文タイトルは写真1参照)。講演は自己紹介のみインドネシア語、あとは発表資料も含めて英語。適当なところで言葉を切って、同僚がインドネシア語で通訳するという形を取りました。

 内容は未利用(廃棄)バイオマスの活用例をいくつか示し、その中で廃棄バイオマスのアルコール(エタノール)変換、固形燃料としてのバイオマスペレットについて紹介しました。ほかに、バイオマス利用に関わる研究開発の意義や方法に対する考えなどについても触れて、ほぼ時間通りに収めることができました。そのあと、ほかの講演者も含めて質疑応答が行なわれ、私の講演に対してはペレット製造に関する質問が多く、この分野への関心の高さが窺われました。終了後も会場やロビーで質疑応答や名刺交換に訪れる人があり、また記念撮影を求めてくるたびにそれに応じ、少々「スター」になったような気分でした。同時に、参加者の多くに関心や興味を持ってもらえたことにホッと一安心しました。

 このワークショップは地域産業の振興のために、工業省が各地域の研究開発センターを中心として、周辺にある民間の会社や工場を「啓発」することがひとつの目的です。「啓発」の内容も、研究機関と工場の繋がり、既存技術の活用、研究開発の促進、環境改善への取り組みなど多岐にわたります。ランプン地方はキャッサバやサトウキビ、オイルパームなどの農業およびその加工に関わる産業が盛んです。私が担当する廃棄物処理において、こうした産業から排出されるバイオマスをいかに活用するか、それによって環境にも工場にも地域社会にも大きなメリットがありますよ、という点をセミナーでは強調しました。たった一回のセミナーで劇的に変わるとは思いませんが、こうしたことの地道な積み重ねが少しでもこの地域の、ひいてはインドネシア全体のお役に立つことができれば・・・と思う次第です。

(写真1~2:ワークショップ(セミナー)の様子;写真3:コーヒーブレイクや昼食の間に各地域の物産展が行なわれていました)

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