JICA海外協力隊の世界日記

みんなの知らないインドネシア~スマトラ島・バンダルランプン~

紙が少ない?使わない?

紙は工業製品ですが、元を正せば植物繊維。その中でも木材が紙原料の主流を占めていますが、ある程度の長さを持った繊維を含む植物であれば紙の原料になります。例えば、ここランプン州で盛んなサトウキビ栽培(写真1)、糖液を搾ると繊維状の残渣(ざんさ)が出ます。バガスと呼ばれるこの繊維残渣は以前から紙の原料として活用されており、実際にタイでは製糖工場の隣に製紙・パルプ工場を併設している会社もあります。このように紙として利用することは、廃棄される植物バイオマスを活かす極めて有効な手段の一つでもあります。

紙原料の宝庫である東南アジア。インドネシアもその一つですが、この国に来て気が付いたことが・・・「紙が少ない!!」。まずトイレ。都市部の高級ホテルやショッピングモール以外、トイレに紙はありません。用を足したら水で洗う、流す。そのような習慣のため、トイレに紙はなく代わりに水はふんだんにあります。旅行者ならずとも、最初はこの習慣に馴染むのに一苦労。そんな思いをされた方、多いのでは?

食事の場でもしかり。日本では、手や口を拭くために卓上に紙ナプキンなどを置いている飲食店がほとんどです。こちらでも置いてある店もたまにありますが、どうも目的が少々違うようです。街の食堂などで食事を注文すると、写真のような「水入れ(=フィンガーボール)」が運ばれてきます(写真2)。直接手(右)を使って食べる習慣のため、食後にその手(指先)を洗うのに使います。紙はその洗った指先を拭くためにあります。とはいえ、使う人もいれば使わない人もいる。紙はあってもあまり「存在感」がありません。

日本では当たり前に「ある」と思っている場所に意外と「無い」紙。しかしながら、実はインドネシアは世界の主要な紙パルプ生産国の一つでもあるのです。統計に依れば、紙・板紙の生産量は世界第10位、全体の2.6%を誇ります(2012年)。その一方、国民一人当たりの紙消費量は世界平均(年間一人当たり57kg、2012年)のおよそ半分、日本(同218kg)の1/8程度に過ぎません。つまり、製造してもかなりの部分が輸出向けということでしょうか。そのせいか、日本では日用必需品のティッシュがとても高い!ティッシュの箱が1個100円くらいします。「日本のスーパーならこれ5箱で200~300円なのに・・」とつい思ってしまいます。ポケットティッシュなど全く見掛けないし、紙を持ち歩く習慣もないんでしょうね。

もっとも職場に行けば印刷用紙や段ボールなど、それなりに紙製品を使っています。文房具屋には紙がたくさん積まれているし(写真3)、本屋もあれば新聞もたくさん発行されています。でもやはり日本の生活に比べると、何となく周りに紙が少ない・・・そう感じてしまいます。でも、こちらに居ると、静かに本や新聞を読んだり・・・というよりも、みんなでワイワイガヤガヤ楽しくお喋りするほうがずっと相応しい。そのように感じられる今日この頃、だいぶ現地化してきましたか?

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