JICA海外協力隊の世界日記

わくわく クマエだより

#14 悪者?救世主?排水路に咲く花の正体とは!?

今回は、排水路の浮かぶ水草の話です。

シェムリアップでは、家庭やホテル、レストランなどから出た下水は排水路を通って、私が働く下水処理場に到着します。

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そんな排水路に目を向けると同じような水草が浮いているのが確認できます。

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ここにも ↓

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先日見たら、なんと花まで咲いていました。

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生物に詳しい方に教えてもらったその名前は

ホテイアオイ

この水草の正体がわかりました。

ホテイアオイとは

ホテイアオイは、南米ブラジル原産のミズアオイ科の浮標性多年草であり、葉の柄の部分がふくれていて七福神の布袋様のおなかを思わせることから、日本ではこのような名前が付けられたそうです。

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ホテイアオイは厄介ものだった・・

ホテイアオイは、ブタクサ、セイダカアワダチソウと並び世界三大害草ともいわれ、世界中で厄介もの扱いされています。繁殖力が強く、湖などで繁茂すると水中の酸素がなくなって魚が死んだり、ボートのスクリューに絡まって故障したりと住民泣かせの困りものです。68132DAA-8852-4A73-962E-70732C65B569.jpg

私が所属する部署のスタッフは定期的にホテイアオイの刈り取りを行っています。腐敗したホテイアオイを放置していると水質が悪くなってしまうそうです。

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クマエとホテイアオイ

厄介ものではあるけれど、カンボジアではホテイアオイの花を食用として利用したり、

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茎を使ってかばんなどもつくったりと、クマエにとってホテイアオイは生活の一部でもあります。

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肥料高騰を解決する救世主かもしれない

実は、日本の研究機関では、そんな厄介もののホテイアオイが富栄養化物質の元となる窒素やリンを吸う力が大きいことに着目し、たい肥にできるのではないかと期待され研究が進んでいます。また、シェムリアップにあるラグーン式の下水処理場は窒素やリンの分解能力が高くないため、ホテイアオイと組み合わせれば、コストを抑えつつ水質浄化に最大限の効果を発揮するのではないかと個人的に淡い期待を抱いています。課題はあるものの、もしこれが成功するれば肥料価格の高騰が問題となっている日本でも解決策の大きなヒントになるかもしれません。

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(農水省の資料を元に作成)

バイオエタノールプラントがコンポンチュナンで稼働

たい肥化だけではありません。実はこのホテイアオイに、ある酵素や酵母を加えると分解し、その際にアルコールが抽出できるとのことで、日本の民間企業がJICAの案件化調査を行っていました。焼き物で有名なコンポンチュナンでは、2023年にバイオエタノール製造工場がさっそく稼働しているようです。

いつの日か、バイオエタノールで走るバキュームカーを見かける日がくるかもしれません。

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カンボジアで肥料とエネルギーの地産地消ができる日がくるかと思うと、今からワクワクが止まりません。

近くこのエタノールからクラフトジンができるとの情報もあり、その時はホテイアオイ由来のジンで乾杯したいですね。

「チョルムオーイ(かんぱい)」

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今回も読んでいただきありがとうございました。

― 参考文献 ―

独立行政法人国際協力機構(JICA)・株式会社サンウエスパ(2018)「カンボジア国 未利用水生植物のバイオエタノールに関する案件化調査 業務完了報告書 」(https://openjicareport.jica.go.jp/pdf/12322707.pdf )(2023年7月現在)

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