JICA海外協力隊の世界日記

カシシで牛を飼う

#26 牛の出荷

↑ トラックの荷台に牛を追い込む

配属先では年に一度、牛をと畜場へ出荷します。

ドイツ人が経営するそのと畜場は精肉店も兼ねており、ソーセージを作っているようです。

今回22頭を出荷しました。老齢の雌牛(推定8才以上)と3~5才の去勢牛です。

出荷の日は快晴で風もなく穏やかな日でした。

しかし作業は全く穏やかに進みませんでした。

↑ 荷台から牛が身を乗り出している

まず出荷の日の朝はトラックのタイヤ交換から始まりました。

数日前にタイヤ3本がパンクし、換えのタイヤを買うのに時間がかかり当日の作業になったからです。

次に出荷する牛をトラックにのせるのですが簡単にはいきません。

400kgの巨体が待機場の柵を軽々と跳び越え逃げていきます。

日本では出荷の際には一頭一頭ロープで繋いで引いていきますが、ここではロープは使いませんでした。

8時から牛を追いかけて11頭の牛を積み終わったのが12時過ぎです。

やっとトラックを送り出すことができました。

しばらくして電話が鳴りました。

トラックに乗っていた職員からで、牛がトラックから落ちて脚を折ったとのこと。

ついてはその牛を捕まえるための応援要請でした。

それでもその日は、脚を折った牛を含めた11頭がと畜場にたどり着きました。

↑ 肉を炭火焼きにしている

残りの11頭は次の日の出荷です。

2日目はトラックは万全の状態です。

しかし牛をトラックに積み込むときに事故が起きました。

一頭だけ何度積み込もうとしても逃げてしまう牛がいました。

最後は枠場にその牛を追い込み頭にロープをかけ、トラックまで引っ張っていくことになりました。

500kg近いその牛は引っ張っていく最中も暴れたため、7人ほどで押さえ込み、脚を縛ってトラックにのせることにしました。

昨日トラックから逃げて脚を折った牛のこともあったからです。

脚を縛っている時にその牛は死にました。どうやら鼻先にかけていたロープが引っ張られた時に絞まりすぎ、呼吸困難となったようでした。

その後別の牛を選び、後半の11頭は無事に出荷できました。

骨折した牛と死亡した牛にはとても申し訳無く思いましたが、今回幸い人的被害はありませんでした。

しかしいつ何が起こってもおかしくないのです。

振り返ると、’これは危ないのでは?マズいんじゃないか?’と私は何度も思っていたと思います。

しかし、誰かが大丈夫だと言うから、周りが気にしていない(ように見えた)から本気で止めることはしませんでした。

いわゆるヒヤリハッとは日常茶飯事です。

そんなとき’ここはザンビアだから’という思いが胸をよぎります。

郷に入っては郷に従えが裏目にでたような、割り切れない気持ちです。

呼吸困難で死んだ牛はその日のうちに解体し、配属先で販売しました。

取り分けておいた肉を職員と食べましたが、5才という年齢の割には柔らかく、赤身で大変美味しかったです。

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