JICA海外協力隊の世界日記

カシシで牛を飼う

#11 放牧、乾季をどう乗り切るか

↑ 9月の放牧地

10月下旬に半年ぶりに雨が降りました。

雨季が近づき、蝉が鳴き始め、植物が芽を出し始めました。

暑さは落ち着いたものの、日中の気温は30℃を超えます。

今回は、放牧主体の牧場が乾季をいかに乗り切るか、についてです。

配属先の牧場の牛は放牧地に生えている草を食べることで生産活動を行っています。

茶色の枯れ草は青草(みずみずしい緑色の草)よりも栄養価が低いです。

乾季になると放牧地には茶色の草しかなく、牛は栄養価の低い草しか食べることが出来ません。

半年間続く乾季をうまく乗り越えられなければ、乳牛の乳生産量は低下し、肉牛は痩せてしまうため、農家の収入は減少します。

↑ 増し餌を始めた初期。餌槽の大きさが不十分で、全ての牛が採食できない。

この過酷な乾季を乗り切るために、今年は2つのことに取組みました。

1.増し餌 

2.給水場の設置

1.増し餌:放牧から帰ってきたあとに餌の給与を行います。

餌の内容は、トウモロコシ、大豆、ヒマワリの絞りかす、オーツ麦の襖、ヒマワリの茎、豆殻、乾草等です。

全て配属先の農場で作っている作物で簡単に手に入り、餌代を抑えることが出来ます。

また嗜好性を増すために、塩水とモラセス(サトウキビから作られる糖蜜)を使用しました。

↑ ボートを使用した餌槽。牛の頭数に対して、十分な広さの餌槽を確保出来た。

2.給水場の設置:放牧地に水飲み場を設置しました。

牛の飲水量は1日50Lとも言われています。

牛に沢山食べてもらうには水が欠かせません。

カラカラの茶色い草しかない、日中は30℃を越えるような、日陰のない放牧地にいる牛に、給水車で水を運び水を飲めるようにしました。

今年の乾季は、乳量の低下も少なく、牛の健康状態を損なうことなく乗り切ることができました。

乾季は他の農家の乳量も減少するため、乳価が上がります。つまり乾季に乳量を確保出来れば収入を上げることが出来るのです。

来年は、サイレージ(発酵した餌)を作り栄養価の高い餌を乾季に給与することで、乳量の増加と収入の増加につなげたいと思います。

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