JICA海外協力隊の世界日記

カシシで牛を飼う

#21 屠畜

↑ マンパワーで牛を押さえつけて、頸を切る

屠畜(とちく)とは家畜などを食用のために殺すことです。

日本では、と畜場法という法律で対象となる家畜や処理方法などが規制されています。

さて配属先が今年50周年を迎えるため、そのお祝いのために牧場の牛を一頭と畜することになりました。

獣医師という職業柄これまで家畜の死には触れてきましたが、食用のためにと畜をみるのは初めてでザンビアでそれをみることが出来たのはなかなかに興味深かったです。

食用なので麻酔などの薬は一切使いません。配属先には銃がないのでナイフと斧を使います。

方法は、体重約500kgの牛の足と頭部にロープをかけ、マンパワーで押し倒します。

そのまま押さえつけ、ナイフで頸動脈を切り、斧で頸椎(首の骨)を破断します。

30秒ほどで完了します。

↑ 解体した屠体(とたい)をぶら下げて血を抜く

絞めたあとは4人がかりで皮を剥ぎ、内臓を分け、と体を部分ごとに分けていきます。

ここからは解剖とほとんど同じなので私も手伝いました。

今回と畜用に雌牛を選びました。

理由は、人工授精のトレーニングを行っている職員に雌牛の繁殖器(子宮など)を見て欲しかったからです。

彼らのレベルアップになることを期待します。

↑ と畜した牛を食べる

屠体(とたい)の大部分は50周年祭用に使われますが、少しだけ分けておいた肉を職員と食べました。

もちろんシマ(ザンビアの主食、トウモロコシの粉を練ったもの)と一緒に。

畜産の仕事をしていると日本ザンビアを問わず、愛情をかけて育てた動物を食べるときの気持ちを問われることがあります。

食べられるところまで育ってくれた喜びと、感謝の気持ちでいっぱいです。

そしてその動物を食べる誰かも喜んでくれたならいいな、と思います。と答えます。

すると日ザを問わずなんとも言えない表情を返されます。

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