JICA海外協力隊の世界日記

モロッコ・ノスノス日記

犠牲祭

モロッコでは、8月12日に『犠牲祭』が行われました。

『犠牲祭』は、『ラマダン』明けの祝祭の1つだそうです。

『犠牲祭』のために、家族が集まります。

海外に住んでいる家族も、帰省してきます。

まるで、日本のお盆やお正月のようです。

各家庭、1頭の羊が犠牲になるため、街中に羊があふれます。

数日前から、自宅で羊を飼育する人

約1ヶ月前から、牧場に行き羊を予約する人

電話で羊を予約をする人

『犠牲祭』に向けて、羊の準備に余念がありません。

『犠牲祭』のために羊を買うことは、モロッコ人にとってのステータスのようです。

シディカセムでは、前日にトラクターで羊が運ばれてきました。

都市部では、車のトランクにぎゅうぎゅう詰めになって運ばれる羊を見ていたので、牧場が近いシディカセムの羊の方がストレスが少ないように感じました。

『犠牲祭』は、同僚のお家に招待していただきました。

そのお家には、なんと4頭もの羊がいました。4家族が集まっていたのです。

『ラマダン(断食月)』の時に何度も『フトール(日没後の食事)』に招待を受けたお家で、たくさんの家族と知り合いになりました。

あの辛かった『ラマダン』を共に乗り越えた人たちとの再会です。

羊の処理は、お肉屋さんが行います。

『犠牲祭』の日は、お肉屋さん待ちです。

テラスから、他の家が羊を解体している様子をみたり、逃げている羊の追いかけっこをみたり、とても貴重な経験をしました。

日本から旅行に来ていた友人と2人で伺ったためか、挨拶のために来てくれていた家族が、わざわざ家から羊を連れて戻ってきて計5頭になった時には、モロッコ人の『おもてなし』精神に、驚きながら笑ってしまいました。

羊は、当主が首に刃を入れ、お肉屋さんが皮を剥ぐためにタイヤの空気入れで皮と肉の間に空気を入れパンパンにし、皮を剥いだ塊から内臓を取り出し、女性たちが内臓の処理をしていきます。

2頭ずつ行われる、手際の良さにプロ意識を感じました。

レバーを焼き、焼いたレバーに脂肪の膜を巻き、もう一度焼きます。

5頭分の内臓は想像よりも多かったです。

ひたすらレバーを食べました。

数時間後、胃や腸の煮込みをみんなで食べました。

羊の解体をみてしまったら、食べられないんじゃないかと思いましたが、いつもより頑張って食べている自分がいました。

新鮮だけれども下処理ゼロの内臓は、独特です。

でも、残せないという気持ちが強かったように思います。

初めて『犠牲祭』に参加し、「命のありがたみ」を実感したかといえば、そうじゃなかったような気がします。

イベントという感じが強いなとも思いました。

モロッコの若者や知り合いも、「羊肉はあんまり好きじゃない。」と言うのを聞くと、羊が犠牲になる意味を考えずにはいられませんでした。

大切な行事に参加することができて、また1つモロッコを知ることができました。

センター長のお家では、3頭の羊を買い(おそらく3家族分)3頭の解体を行い、1頭分の肉は家族のために保管し、2頭分はセンターが運営する施設に寄付したそうです。

「富める者は貧しい者へ」の考え方は、いつも尊敬しています。

私自身も、モロッコの優しさに支えられて生きています。

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