2015/09/01 Tue
文化 旅行
政治アピール化する伝統行事とじいさまたちの胸の内
マラウイは様々な民族が共存しており、公用語にもなっているマジョリティのチェワ族の他に十以上の民族がいます。少数民族の一つ、その昔南アフリカからマラウイに移住してきたンゴニ族は戦いを好む勇敢な戦士の民族として知られていますが、現在ンゴニ語を話す人はほどんど残っておらず、民族も様々な場所に分かれて住んでいます。
しかし、一年か二年に一度、ンゴニ族がマラウイ全土、そして南アフリカやザンビアなど他国からも集まり、ンゴニの文化を祝ってダンスを踊るお祭りがあるというのです。今年はンゴニ族にとって聖なる山であるHola Mountainの麓で行われました。同期隊員の同僚がンゴニ族であり、実家がそのHola Mountainの麓にあるということで、彼の里帰りにくっ付いてその伝統行事を見に行かせてもらいました。
朝9時から始まると言われてたイベントが実際に始まったのは時計の針が11時に届くかどうかという時刻。
しかし昨日までは何もなかった広場に来賓用のテントが建ち並び、車が次々と到着、村の人口の何倍であろう数百人の人々が集まっています。太鼓が鳴り響き始め、いよいよ祭りが始まります。
観客が半円を作り、その中に出来た空間で数人のダンサーが登場し踊り出しましたが、突然「大統領閣下が来られるため許可された方以外は写真を撮らないで下さい」のアナウンス。警察官、軍関係者までが観客席の間から目を光らせています。
その大統領は、アナウンスがあった後もなかなか姿を見せず、ようやく来たと思ったら何と十台以上の車が行列をなしてぞろぞろ会場を横断しています。そして車のまま来賓テントの前に横付けし、敷かれたレッドカーペットを歩いて席に着きます。その瞬間、音楽隊によるファンファーレが。(大統領の着席と退席、そして国歌斉唱の時のためだけに20人以上がわざわざ来ていたみたいです。)
この地域の伝統的首長も到着し、首長や地域の代表者、そして大統領のスピーチが行われました。その演説中、大統領の名前が読み上げられたり大統領が話す度に、大統領の写真が印刷された水色の布を身に付けた女性たちが拍手をしたり歓声をあげます。
地元の遺産協会(heritage association)や首長の演説では、ンゴ二族の歴史についての説明など興味深いものもありましたが、大統領を讃えたり、地元に電気を通す計画を立ててくれてありがとう、来てくれてありがとうといった内容が多過ぎたように感じました。
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