JICA海外協力隊の世界日記

モロッコ通信〜Heartful♡SidiKacem〜

2023/2024年度

7月から2ヶ月の夏休みに突入しました。忘れないうちに、活動のことを記録しておこうと思います。

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①統合学級

県内唯一(!)の統合学級が小学校内に併設されています。地域差があるようですが、任地の統合学級は時間割もありません。授業内容やスケジュールは全て担任の裁量で決まるのですが、なんと年度当初は担任も不在(°_°)今年は教職員によるストライキも続き、統合学級が始動したのは12月でした。

年度途中から新たに着任した統合学級の担任は、ベテランの小学校教員ですが障害児教育に関しては未経験。

授業は最初の1時間、残り時間は自由に遊んでいいぞ!自分も教室を出ていくからあとはよろしく!ということが当初はよくあり、そのような状況はあるあると聞いてはいましたが衝撃でした。

今思うと、担任も初めての状況でどうしたらいいかわからず息抜きしたかったんだろうな~と思います。私が子供たちと関わっているところを見て同じように取り入れようとしてくれることが多く、やる気がないわけではなくてただ困っていただけなんだな、と理解してからは、こんな課題はどう?この教材使えるんじゃない?といろいろ試行錯誤が始まり、次第に授業時間も長くなりました。最近は自分であれこれ工夫してプリント教材を作成したり日々の授業を考えたり、メキメキと授業の腕をあげていました。

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IMG_6364.jpegところで、在籍している児童数は9人のはずですが、毎日登校するのは2~3人。雨の日やとても寒い日は誰も来ないこともあります。家の事情もいろいろとあるようですが、あまり学校教育は期待されていないのかな・・と思わずにはいられません。家では元気にしているのに学校に来ないという状況で、担任も保護者に連絡したり家を訪ねたりしていましたが、なかなか状況は変わらず・・

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②通級教室(もどき)

国としては統合学級を閉鎖し、インクルーシブ教育を推進していきたい方針があり、通級教室の設置が進められています。大きな街はすでに通級教室に切り替わっているようですが、田舎と言われがちな任地ではまだ導入には至っていません。

統合学級での活動が煮詰まり教育局のカウンターパートに相談に行くと、モロッコ人の教員はいないけど通級教室で活動してみる?という話になり、1対1なら・・!とマンツーマン指導の機会をいただきました。

モロッコ人の子供と日本人の私のみで過ごす60分×2コマ、毎回ドキドキしながら学校へ。医師の診断がついている子を対象としていますが、発達段階は様々です。数字が分かる子とはカードゲームをしたり、計算が分かる子とは算数パズルをしたり、操作系のものに取り組める子にはパズルやプットイン課題を用意してみたり。「自分が説明できること×現地にあるものでできること」に頭を悩ませる日々。“教材取りに一瞬日本に戻りたい!!!”と何度思ったことか・・笑

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はじめは図書室や幼児クラスの教室(小学校には基本的に幼稚園が同じ敷地内にあります。)を借りていましたが、物があると気が散ってしまう子もいるので、テラスで活動することに。部屋にこもると本当に2人きりになってしまいますが、テラスだといろんな人が通りかかって声をかけてくれたり様子を見に来たりしてくれるので、ほどよく気も紛れてありがたい環境です。

でもやっぱりモロッコ人の先生と一緒に活動したい・・!教材を作ったりアイディアを提供したりはいくらでも頑張るけれど、やっぱり現地の先生がいて、協力しながら活動できたらいいのにな。「この子が教室にいると大変だからちょっと見といてー」のごとく預けられることが増えてきて次第にモヤモヤ。

普通学級でなんのサポートもなく学ぶのは厳しいのでは?という児童も多く在籍しています。教科書を見せてもらうと、ページいっぱいにぐるぐる殴り書きされていたり、バラバラに分解されていたりと、学習に取り組んでいるとは思えない状況です。担任に授業中の様子を聞くと、「おとなしく席に座っていられるようになったのよ!」とのことですが、「何も理解できなくて退屈だけど、立ち歩くと叩かれるから・・」とぼんやりその場をやり過ごしている児童を見るとやるせない気持ちになります。

インクルーシブ教育って難しい、と感じる日々です。統合学級がないので通常学級に行かせるしかないが、授業についていけずドロップアウトしてしまうことも珍しくないそうで、彼らがそうなるのももうすぐかもしれません。

お金の問題・制度の問題・そして言葉の壁がある中で、ボランティアにできることはなんだろう?この問いをずっと考えていますが、答えのわからないままモロッコに来て1年が経とうとしています。

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