JICA海外協力隊の世界日記

La Vida Rica

環境教育の活動~やってみる

前回に続き、環境教育の活動について書きたいと思います。

私は、派遣前に環境NPOでインターンをして、廃棄物管理や環境教育などについて学びました。地域の環境問題は、行政のリーダーシップと事業者の協力、市民の参加と協力、そして学校での環境教育、それぞれの活動を繋げて、人の行動様式や社会を変えていくことでようやく改善されます。日本は公害を経験して、住民が立ち上がり行政や事業者を動かし、環境教育の概念が生まれて、何十年もかけて環境問題に取り組んできた結果、今のようになりました。そのことを頭に入れて、隊員として任地の住民にどう働きかけられるかを考えました。

任地に赴任して、何とかしたいと思ったのが道に散乱しているゴミと最終処分場の延命でした。ごみ問題は子どもだけが頑張っても、大人だけが規則を守っても、簡単に改善しません。改善が見えないと活動も長続きしません。どうやったら、多くの人が関わって長続きする啓発活動ができるか、いつも考えていました。

そこで考えついたのが、(これまでも色々な国の隊員が実施されていますが)バス内啓発ポスターでした。1枚目の写真はバスのオーナーにプロジェクトの説明をしているところです。

ホンジュラスの島嶼地域以外の主な公共交通機関はバスですが、驚くことに、乗客は子どもも大人もバスの窓からゴミをポイポイ捨てます。よってバスが通る道路はゴミが散乱しています。バスの中にポイ捨て禁止の張り紙をしたら効果があるのかな…と思いながらバスで移動していたときに、

その張り紙を子どもに描いてもらったら、親も見るし、バス事業者も気にかけるし、グイノペ市が積極的に環境保全活動をしている宣伝になるのでは、と閃きました。

企画書を作ってカウンターパートに提案しました。すると、ある資料を見せてくれました。なんと、グイノペ市では、バスにはゴミ箱を設置する義務があり、ゴミのポイ捨てに対して罰金(200Lps.≒1,000円)が科される、という条例が定められていました。

しかし、現実には適用されていなくてゴミが捨てまくられている状況でした。カウンターパートは「市役所の責務だ」と、予算をとってバス内ポスターを張ると言いました。しかし、市役所は他にも優先度が高い事業があり、一向に進みませんでした。そこで、私は協力隊の現地業務費を活用して、ポスタープロジェクトを始めることにしました。

早速、市役所環境課の職員と一緒にバスオーナーを回って説明し、小学校の協力を得て、今年の新学期が始まった2月に小学校6年生約70名にポスターを描いてもらいました。子どもたちは今まで描いたことのない絵を描くことになり、最初は戸惑っていましたが、それぞれ工夫して各自が思う環境保全へのメッセージを描いてくれました。

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バスは市内に約15台あるので3枚ずつ掲示する予定にしました。貼る分を小学校の教員と市議会で選んでもらいました。バスに張らない分は市役所や保健所に貼って、全てのポスターを住民に見てもらいます。

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実はこのとき、新型コロナウイルス感染症問題でホンジュラス国内のあらゆる事業が休止となる数日前でした。その後、外出禁止令が発令されて現在までバスは運休が続いているので、ポスターはまだ市役所で保管されたままです。移動制限が解除されバスの運行が再開したら、カウンターパートが貼ってくれる予定なので、住民の目に触れる日を静かに待ちたいと思います。

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