JICA海外協力隊の世界日記

La Vida Rica

環境教育の活動~模索の日々

退避帰国をして既に3か月経ちましたが、振り返って自分の職種と活動について2回に分けて書きたいと思います。

環境教育と聞くと、小学校などで子どもを対象に環境のことを教えるイメージを持っている人が多いと思います。「教育」と名前がついているからか、私の任地のカウンターパートもそんな活動を期待していました。私は任地に赴任し3日目に、市内に唯一ある小学校にカウンターパートが連れて行ってくれて「さぁ、お前がやりたいことを校長に話せ」と、いきなり営業をすることになりました。そんなやり取りのあと、任地の状況を取り入れた内容の環境教育の授業を小学校でしていました。

小学校の授業は朝7:30から13:30まで、児童の全員がいつも登校しているわけではありません。国や市の行事があると、出し物の練習をするために授業はお休みになるので、勉強する時間が圧倒的に少ないことが分かりました。生活の様子を観察していくと、教員も含めてコーヒー栽培などの農家・兼業農家が多く、学校が終わったら農作業などをしているようでした。

そんな貴重な授業時間の一コマをもらって、言葉もあまり出来ない外国人から「ゴミをポイ捨てするな」と延々と言われるよりは、授業をしっかり受けて勉強した方が余程有意義で、ゴミの処理の仕方も自ずと理解できるようになるのでは…と感じていました。

小学校では、自然科学の授業で自然環境やリサイクルについて学習するので(写真は自然科学の教科書4年生の目次)、子ども達は「汚染」とか「リサイクル」という言葉は知っていて、「(お菓子を食べた後の)ごみはどうする?」と聞くと「ゴミ箱に捨てる!」と元気よく答えます。でも、道路や川などあちこちにごみが散乱しているのが現状です。「誰が捨てたの?」と聞くと「私たち!!」と答えます。知識はあっても学校の外での行動に結びついていないのかな、と思っていました。

任地で生活していくうちに、ゴミの問題は子どもだけの問題ではないと感じるようになりました。啓発活動では「子どもに教えたら子どもが自宅で親に教える」とよくいわれますが、基本的に子どもは親の背中を見て育つともいわれています。そのため、私は、親や周りの大人のゴミ処理に対する行動も問題があると考えて、小学校以外でも啓蒙活動をするために、市域の大人が集まる保健所でも活動をさせてもらうようにしました。

ごみは分けて処理することで減らすことができるので、家庭から排出するときに分別するのが、日本の廃棄物処理の特徴です。しかし、私の任地をはじめ、多くの途上国ではごみの分別はありません。したがって、ごみを減らすとか、リサイクルをしよう、と言っても、せいぜいペットボトルをリメイクして庭で使うくらいです。学校にはプラスチックボトルの作品がズラリ!

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ごみ処理の制度や施設がないので分別ができません。よって、授業の内容は3R(Reduce,Reuse,Recycle)を説明しても実行できないので、「ポイ捨てをやめよう」といった全体的なテーマになって、その地域の課題に対して影響力が小さいものになってしまいます。昔は果物など自然の物を食べて皮や種をその辺に捨てていた習慣がそのまま残って、ごみのポイ捨てに繋がっていますが、習慣を辞めて行動変容することは簡単ではありません。

気が付けば、一番難しいことをやろうとしていました。おまけに、私は学校で子どもに教えた経験もないので、小学校での授業は毎回緊張していて、自分自身も心から楽しめてはいませんでした。

Photo 2019-08-13 9 05 40.jpg子どもが飽きないようにビデオ素材も多用しました

そんな悶々とした気持ちで半年くらいが過ぎていきました。配属先が市役所なので毎日市役所には行きますが、市役所の仕事はしていないので周りの人は「いつも何してるんだろう」と思っていたと思います。カウンターパートは森林管理の仕事が忙しくいつもバイクで山奥のコミュニティに出掛けていましたが、市内ではコミュニティ地区への公共交通機関はなく、安全の観点からバイクの利用ができない私は、現場について行くことが出来ず寂しい思いをしていました。

他に何かもっと自分自身の得意なことで、楽しく住民が参加できる活動ができないか…模索の日々が続きました。次回、この後の活動の展開について書きたいと思います。

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