JICA海外協力隊の世界日記

La Vida Rica

一時帰国

既にニュースになっているとおり、新型コロナウイルス感染症拡大の影響でJICAボランティアは日本に一時帰国しています。ホンジュラス隊員も3月末に、様々な方面からのサポートのもと全員が無事に日本に帰りました。このような一生に一度も起こらないような事態を途上国で体験することも貴重な経験だと思いますので、ホンジュラスで新型コロナウイルス感染者が出てから隊員が帰国するまで、ホンジュラスがどんな様子だったかを分かる範囲でお伝えしたいと思います。(写真は帰国直前の首都テグシガルパの風景です。車がほぼ走っていなくてとても静かです。)

2月まではホンジュラス国内には感染者が出ていなくて、ニュースでは話題になっていたものの普段通りの生活をしていました。前回のブログのとおり2月末には任地で年に一度のフェスティバルを開催しました。https://world-diary.jica.go.jp/yokotayuko/culture/festival_de_naranja.php

それから約2週間後、国内初の感染者が出てから雰囲気が変わりました。大統領はじめ保健省、治安省などから毎日国民向けのメッセージがニュースやツイッターで届けられています。最初の感染者が出てから1週間以内には国境封鎖に加え、首都や感染者が出た都市での外出禁止令が出ました。絶対外出禁止令(TOQUE DE QUEDA ABSOLUTOトケデケダアブソルト)といって一切の例外のない外出禁止です。また、食料品や水、医薬品、ガソリンなどの生活必需品以外のあらゆる事業、公共交通機関の休止や学校も休校になり現在も続いています。


その後、国内全ての市に外出禁止が拡大されましたが、時間を限定して食料品や医薬品の買い物、銀行に行くことが許可されました。スーパーマーケットでは一度に店内に入れるのは50人まで、外で並ぶときは前の人と1m間隔をあけて並ぶように指示され、市民はきちんと守って何十分も待って買い物をしていました。銀行でも店内に入るまでに1時間以上も待ったそうです。さらに、車で移動するときの乗車人数も2人までで買い物できるのはそのうち1人と決まっているなどとても徹底しています。首都以外の地域でも、監視している警察や軍はいませんが、店舗が政府の指示を守って営業していました。

ホンジュラスでは国民一人ひとりがIDを持っていて、最近はその末番号でグループ分けをして外出できる曜日を決めて、必要な用事のための外出が許可され、高齢者や妊産婦、障害がある方のための専用時間も設けてあるそうです。現在、公共交通機関は動いていませんが、ホンジュラスには電車がなく、特に地方の町では買い物も畑に行くにもバイクが主な交通手段でガソリンは市民の命綱なので、流通しているようで安心しました。

大統領のFacebookにスーパーマーケットに並ぶ人達の様子の動画がありました。ホンジュラス大統領Juan Orlando Hernández3月19日の投稿動画です。https://www.facebook.com/juanorlandoh/videos/212966283116090/

写真は、地域の商店に来る買い物客が感染防止のために1.5m間隔で並ぶように警察官がマークしているところです。

ホンジュラスなどスペイン語圏の国では外出せず自宅にいることを「Quédate En Casa(ケダテエンカサ)」と言っています。私達隊員は日本に帰ってきて2週間は自主隔離をして外出を控えていますが、日本はホンジュラスや他の国のように国境封鎖や外出禁止という強い指示はまだ出ていませんので、市民は普段とあまり変わらない様子で生活をしているように見えて、帰国したすぐは私は正直ギャップを感じました。ホンジュラス人も経済面、食料が充分に手に入らないなど不満は出ているようですが、大半の市民が律儀に守っているところに感心します。(写真は道路の看板の表示がQuédate En Casaになっている様子です)

ホンジュラス隊員は、普段から首都のテグシガルパでは安全管理のために徒歩での移動はしていません。タクシーで出かけたときに沢山買い物をして、ご飯を作ってみんなで食べたりしていました。なので、一日のうち大半の時間を室内で過ごすことは割と慣れている方だと思います。

新型コロナウイルス問題が出てきた最初の時期は、ホンジュラスの任地なら人口密度が低くて感染するリスクも少ないだろうし、水も豊富で農産物の生産地なので食料には困らないし、まさか帰国することになるとは思っていませんでした。帰国が決まって任地を離れるときには、活動先の学校や市役所などが閉まっていて、配属先の人達に挨拶も出来ずに去ってしまった隊員がほとんどです。不便ななかでもホンジュラスの人達が安全に過ごされることと、一日も早く状況が落ち着いて私達隊員も任地に戻れることを祈るばかりです。

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