JICA海外協力隊の世界日記

バヌアツ便り

アラカン隊員のバヌアツを行く~バヌアツの結婚式~(#4 野田順子/職種:小学校教育)

God Fanwii!(バヌアツパンゴ村の方言で「こんにちは!」のあいさつです) 先日、私が住むエファテ島北部の村でホームステイをしたとき、運よく結婚式に参加する機会がありました。これまで他の隊員から「活動先の同僚に招待された」「大家さんの親戚の結婚式に出た」などという話をよく耳にしていて、いつか自分も参加してみたいと思っていたので、とても嬉しい体験になりました。

実は、私の住むパンゴ村でも結婚式はしばしば見かけます。というのも、バヌアツの結婚式は屋外で行われることが多く、学校の行き帰りにカラフルなテントや飾り付けをした会場を目にするからです。あるとき、「昨日も結婚式をやっていたけれど、今日もまだ続いているの?」と不思議に思い、村の人に尋ねてみました。すると、披露宴にあたるお祝いは数日間、時には一週間続くこともあるのだそうです。日本では一日で済む披露宴が、ここでは村全体を巻き込む一大イベントになるのです。

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バヌアツは国民のほとんどがキリスト教徒で、挙式自体は教会で行われます。その後のお祝いが本番ともいえる披露宴。広場にテントを張り、トロピカルな布や風船、椰子の葉で飾り付け、村中に大きなスピーカーを設置します。途切れることなく流れる音楽は、ハワイアンのようでもあり、レゲエのようでもある独特のアイランドミュージック。料理を運んでいる人も、準備をしている人も、自然とリズムに合わせてステップを踏んでいるのが印象的でした。

私が参加した結婚式では、老若男女、子どもたちまで村全体が集まり、笑顔で歌い、踊り、食べ、語り合っていました。まさに「村全体の祝祭空間」であり、カップルの門出を心から喜び合っている様子が伝わってきました。

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花嫁は白いウェディングドレス姿が多く、花飾りやベールを合わせてとても華やかです。花婿はスーツやアイランドシャツにスラックス姿で、きちんとした印象でした。出席する女性はアイランドドレス、男性はアイランドシャツと長ズボンといった装いが多く、日本と同じように「特別な日」にふさわしい正装で参加していました。一方、軽装で参加する人もいて、服装の自由さもバヌアツらしさを感じます。料理は村の女性たちが大鍋で準備し、主役は伝統料理「ラップラップ」。すりつぶした芋にココナッツミルクをかけ、肉や魚をのせてバナナの葉で包み、地面に掘ったアースオーブンで蒸し焼きにします。ゲストは大皿から自由に取り分け、食べ物と笑顔をシェアするのです。

※「ラップラップ」の作り方はこちらの記事をご覧ください↓

アイランド特集:エファテ島(マンガリリウ村)編② | バヌアツ便り(バヌアツ支所) | JICA海外協力隊の世界日記

そして忘れてはならないのがダンス。音楽に合わせて自然と輪ができ、大人も子どもも交代で中央に出て踊ります。誰かに見せるためというより、心から楽しんでいることが伝わってきて、思わずこちらまで体が動き出してしまいます。

費用は新郎新婦の家族が負担するそうですが、親戚や村人が食材を持ち寄ったり、手伝いをしたりと、コミュニティ全体で支え合います。日本のようにご祝儀袋はなく、代わりに食材や葉で編んだ伝統的なマットなどを持参したり、現金を直接手渡したりして新しい家族を支えます。

また、バヌアツでは結婚せずにカップルで子どもを育てることも珍しくありません。だからこそ、結婚式は「正式に家族として歩み出す」大切な節目であり、村全体で盛大に祝うのです。形式にとらわれず、自由で温かく、みんなで分かち合う文化がそこにありました。

村中に響く音楽と笑い声に包まれながら、バヌアツの結婚式は「人生の喜びをコミュニティ全体で祝うものなのだ」と思いました。日本の結婚式との違いを肌で感じつつ、この体験は私にとって忘れられない宝物になリました。

野田順子(2024年度2次隊/小学校教育)

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