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こんにちは！

以前に書いた　ブログ「＃9　母との別れ」（https://world-diary.jica.go.jp/fushimikentaro/person/9.php）において、異国の地であるインドネシアで、いつも母のように接してくれた同僚がいたことを紹介しました。

今回はインドネシアにおける2人目の母というべき存在、トゥティさんとの思い出について書かせてください。

トゥティさんは私が勤務地に配属されたときの上司にあたる方で、勤続30年以上の大ベテランです。大御所的な存在でありながら、とても物腰柔らかく接してくれます。

派遣された当初、一人ぽつんと任地にやってきた私は、日本人のいない環境の中でやっていけるのかと不安に押し潰されそうになっていました。しかし、配属初日に「ケンさんは家族の一員だから、インドネシアでの生活については心配しないでね」と声をかけてくれたことで、不安や緊張感が薄らいでいきました。

配属先にソーシャルワーカーとしてやってきて、何をしたらよいのかわからず困っていたとき、相談に乗ってくれたのもトゥティさんでした。カウンターパート（＝活動するうえでの相棒）は業務が忙しいとのことでなかなか相談できるタイミングがなく、どうしようか…と悩んだ末に、藁にもすがる思いで彼女に相談しにいきました。彼女は嫌な顔一つせず、私がたどたどしくインドネシア語で話す活動計画に真剣に耳を傾け、建設的なアドバイスをしてくれました。

ボランティア活動をする上で、すべての関係者と円満な関係を築くことは難しいと感じています。言語の壁はもちろんのこと、仕事に関する価値観や勤務態度も含めて、日本人の私とは異なっていることが多く、同僚が発する何気ない一言で悲しい気持ちになったり、腹が立つことがしばしばあります。これは逆も然りで、私の言葉で現地の人を傷つけたこともあったかと思います。活動をしていると楽しいこともありますが、精神的に苦しくなることもたくさんあります。トゥティさんは20代の頃に数か月間、オーストラリアに留学をしていたため、異国で生活する大変さを知っていると私に話してくれました。「ケンさん、無理をしないでね。リラックスして過ごせばいいからね。大丈夫、大丈夫」と事あるごとに声をかけ、活動がうまくいかない私を励ましてくれました。

同僚と意見の食い違いがあった場合にも、常に私の味方でいてくれました。「ケンさんが頑張っているのはよくわかっているからね」と温かい言葉をかけてくれ、私が行った心理に関するワークや日本語教室などを見学しては、「すごいね」と褒めて、自信を失いかけていた私を鼓舞してくれました。

このように、私にとってなくてはならない存在だったトゥティさんは、2024年の2月で定年退職することになってしまい、私は職場の同僚たちとトゥティさんの送別会を3月に開催しました。

美味しい料理を食べながら、思い出話に花を咲かせます。私はみんなの前でトゥティさんへの送別の挨拶をする機会をもらいました。

「本当にお世話になりました。いつも私のことを気にかけてくださって本当にありがとうございました。毎日顔を合わせていたのに、もう気軽に会えなくなると思うととても寂しいです。100歳まで元気に長生きしてください。あなたは私の母のような存在です。」と伝えました。

トゥティさんは、「ソロに住んでいるので、また会いましょうね。ケンさん、任期が終わるまで元気で頑張ってください。」と答えてくれました。2、3月は精神的に大変苦しい時期であったため、トゥティさんの任期終了まで頑張って！という言葉に心を揺さぶられました。今後も活動するうえで苦しい状況があったとしても、お世話になった人達に元気に任期終了の挨拶をするまで頑張りたいという気持ちが強くなりました。トゥティさんの言葉は私の活動を続ける上での原動力の一つになっています。

配属先に赴任してから1年2ヶ月、トゥティさんには大変お世話になりました。インドネシア語がほとんどわからない日本からやってきた若造に、家族のように優しく接してくれたことは今後も忘れることはないでしょう。

以上がインドネシアでの2人目の母、トゥティさんについての話でした。この記事を書くにあたり、トゥティさんとの数々の出来事を思い出していると、私は色々な方たちに助けられ、ここインドネシアで生活しているのだなぁと改めて実感しました。私の任期は残すところ半年を切りました。健康第一に日々を過ごしていこうと思います。

それではsampai jumpa lagi！（読み方は ”サンパイ　ジュンパラギ” 　意味は” またお会いしましょう" ）