2020/05/06 Wed
文化 活動 生活
サンタエレナ市役所での活動
¡Hola! ¿Cómo está? (オラ、コモエスタ?)こんにちは。皆さんお元気ですか?
前回のブログでお伝えしたように、活動終盤の2ヶ月半、私は任地サリーナス市役所での勤務を週2回に減らし、同じ県内のサンタエレナ市役所においても週3回勤務させてもらうこととなりました。
この出張勤務の経緯は、2019年4月頃にさかのぼり、サリーナス市と同様にサンタエレナ市もJICA技術協力プロジェクト「地震と津波に強いまちづくりプロジェクト」の二次パイロット市となり、JICAボランティアの存在を知ったサンタエレナ市役所危機管理部長から、「ぜひ、サンタエレナ市役所でもボランティアとして防災研修を広めてほしい。」と言われていたことがきっかけでした。
新しいボランティアを要請するには最低でも1年ほどは待ち時間もかかりますし、サリーナス市からバスで通えない範囲でもなかったことから、JICAエクアドル事務所の調整員や所長に無理を言ってお願いし、サリーナス市危機管理部同僚や市長の許可を得て、このような活動形態を実現することができました。こうした活動の後押しをしてくださった皆さんに本当に感謝しております。
(写真1枚目:サンタエレナ市役所(右側)と木造建ての外観を残すレトロな教会)
サンタエレナ市はサンタエレナ県の中心地であり、6つのコミュニティに分けられる非常に広い面積を持つ場所です。(市面積は、サリーナス市の約20倍もあります)
サリーナス市からバスで東へ約30分で市役所に到着し、サンタエレナは太平洋に面した南北に延びる海岸沿いにRuta del Sol(太陽の道)と呼ばれる広い道路が続き、車で2時間ほど東へ進むとエクアドル最大の都市グアヤス県、北は2016年4月に大地震が発生したマナビ県と接しています。海岸沿いには漁業を営む港だけでなく、たくさんのビーチが連なり、毎年12月から6月頃までのハイシーズン(南半球の夏)になると、国内外からのたくさんの観光客で賑わいます。特に、マナビ県に近いMontañita(モンタニータ)と呼ばれるビーチでは、世界中から集まったサーフィンやマリンスポーツ好きの若者たちがお洒落なバーやディスコ、海岸に集って、花火を眺めてお酒を飲みながら眠らない夜を過ごします。
また、エクアドル・マナビ県が発祥と言われているトキワ草(Paja Toquilla)で編まれたパナマ・ハットは世界的にも有名です。サンタエレナ県でも、モンタニータからすぐ近くのLibertador Bolivar(リベルタドール・ボリバル)はパナマ・ハットを製作している家庭が多く、ビーチ沿いに何軒ものお店が並んでトキワ草で丁寧に編まれた帽子・鞄や民芸品が販売されており、私もいくつかお土産を購入しました。
このように観光地として見ても魅力が余りあるほどあり、私も幾度となく日帰りまたは泊まりがけでサンタエレナへ行きました。バスだとサリーナスから市役所まで0.30ctv.(約35円)、モンタニータまで1.75USD(約200円)で行けてしまいますので、地元の方も大勢この辺りで休暇を過ごされています。勿論、エクアドル・コスタ地方ならではの新鮮な魚介類を使った食べ物も魅力です。
(写真2枚目:同僚の家で手作りセビーチェを教えてもらう。エビを買ってむいているところ)
これまで防災研修を行ってきた地震・津波への脅威だけでなく、山間部も含まれるサンタエレナでは、地域によって防災へのニーズにばらつきはあります。大雨・暴風による洪水対策はもとより、崖崩れ・土砂崩れなど、少し海岸部と異なった状況があり、様々な防災対策が必要になってきます。
詳しくは割愛しますが、サンタエレナ市役所で行うことができた活動は以下です。
◎6つのコミュニティで2日間ずつ、小・中・高等学校教員向け防災研修を行う。
<1日目>
・市役所環境部から、市で制定しているペット・家畜の管理について徹底すること、予防注射の重要性などについて
・パトぼうさい研修(私と市役所同僚が担当)
<2日目>
・消防署から火災予防、特に花火の季節に気をつけるべきことを講習
・研修会場となっている学校において、津波襲来を想定した避難訓練を行う。指定避難場所に消防署の人たちと待機し、最初と最後の到着者の避難時間を計測し、INOCAR(海洋学研究所)など専門家による津波到達予測時間に間に合うかどうか、また、通ってきたルートや避難場所(多くは公共施設ではなく私用地)の安全性検証なども行う。
私がこれまで一年半以上にわたり行ってきた任地サリーナス市の児童・生徒に向けた「パトぼうさい」を使用した防災研修に加え、各学校で行っていた教員向け研修で有用だった点を応用させて、消防署や環境部の方たちと更に幅広い防災研修を凝縮して行うことができました。
そして、何よりも効果的だったと言えるのは、短期的にしか私が活動に入ることができなかったからこそ、早いうちから同僚たちへのいわゆる「技術移転」が可能になったことです。私がいなくても同じ活動をしてもらえるように、これまで1年半以上かけて身につけた研修スキル、そして日本から持ってきた防災知識を限りなく伝え、避難訓練の実践などに生かせたと感じています。
問題は、頻繁に起こる人事異動や政治的不安定の影響ですが、政治的影響を受けにくい教員への研修を通し、彼らが幅広く防災知識を身につけ、子どもたちに伝えてくださることを祈るばかりです。
(3枚目:サンタエレナ市役所同僚たちと防災研修の様子)
¡Hasta Luego! (アスタ・ルエゴ)それではまた
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