JICA海外協力隊の世界日記

こちらモロッコですけどなにか?٩( ᐛ )و

プロに倣わないラマダン

サラム・アレイコム(こんにちは)

モロッコ から 助産師のまーみん です。

最近、ティータイムになると「今日は断食だから」と日中の軽食を断る女性の姿を見かけます。(そうか、あれからもう1年か…)

それと言うのも、イスラム教徒が大半のモロッコでは、年に一度1か月間に及ぶ 断食月『ラマダン』がまもなく訪れます。
この期間はイスラム教徒の五行のひとつである 断食(サウム)行われ、原義は「慎み避けること」であり、日が昇る時間帯は 一切の飲食だけでなく、喫煙や性的営み、喧嘩などが禁止 されています。

ただし、子どもや高齢者、病気療養の方、妊婦や授乳中、生理中の女性は断食を行わなくても良いことになっているので、多くの女性はラマダン月の前後に生理日数分の断食を各自で設定し過ごすそうです。

ムスリム(イスラム教徒)でなければ、1か月も飲まず食わず大丈夫?と、なかなかに心配してしまいますが、この神聖な期間に断食をした私 まーみん が実際の あれこれ をいつもよりちょっと長くお話します。
(ちなみに イスラム圏で断食を続けた隊員は少数派 のようです)

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君もムスリムなのか!

それはひょんなことから始まりました・・・

モロッコに来てすぐ首都での研修期間から、

  • ● ラマダン中には就業時間が短縮されること
  • ● 華美な衣装やお化粧が控えられること
  • ● 帰宅時間に交通渋滞等が起こりやすいこと
  • ● 食料品店や飲食店の営業時間が変わること
  • ● アルコール類の一切が購入できなくなること、などなど

生活が一変することを調整員さんたちから教えてもらっていました。
(ラマダン直前にキャリーケースで缶ビー◯を箱買いしたのは何を隠そう私です笑)

ラマダン前は期間中に多く消費される 日持ちする食材や定番メニューに欠かせない調味料類 を買い込む姿が多く見られ始めます。
初めての経験に不安と期待にそわそわしていると「ひとりじゃないから私たちがついてる、教えるから大丈夫よ」と同僚や現地の方々に励ませられ、たくさん質問をして心の準備をしました。
そして、まさかの展開だったのは、まさに言葉通りに、同僚たちは自宅に私を招待する ローテーション を組んでくれたことでした。
人目のつかないところで飲食をすることもできたのかもしれませんが、これがムスリムではない私がラマダンを体験できた経緯で、市場やタクシーで出会う現地の方にサウム(断食中)です」と答えると、驚かれると共に大変喜ばれました。

最も衝撃的でワクワクしたのは開始直前の週末で、土曜日から日曜日にかけて深夜1-2時 タイムリープ が起こることでした。
モロッコは2018年からサマータイムを廃止したのですが、ラマダン期間の1か月のみ標準の西ヨーロッパ時間に戻るため通常は 日本との時差-8時間のところ、-9時間に変わります
開始も終了も経済活動への影響が少ない週末に起こり、自動設定にしていた携帯電話の時刻が変更される瞬間を 始めの時だけ 見届けました。
(終わりは+1時間の睡眠満喫を選ぶほど疲れとった・・・寛大なムスリムの方は大きな障害がないようですが、この期間は他国とのスケジュール調整は要注意です!!)

ラマダンの開始日は直前に決まるのですが、モロッコの場合は前夜に 月の観測 によって確定されます。
その発表から各地で 空砲やサイレンが鳴り響く と共に、ニュースやSNS、チャットで「ラマダン・カリーム(断食月おめでとう)」とメッセージが流れます。

最初の朝はとても静まり返り町中がシャッター街で、「過度な露出さえしなければ服装もメイクもアクセサリーも今のままで良いのよ」と事前に同僚から聞いていたものの、ある程度の色味を抑えた装いでドキドキしながらの出勤でした。
普段より1時間遅く出たにも関わらず職場は駐車場すら締まっており、近所で唯一開いていた小売店のおっちゃんに事情を話すと店先に椅子を出してくださって就業まで待たせてくれたのも初日の思い出です。

その後、続々と登場する同僚たちの姿は・・・

「セクシー…なんで⁈」

ラマダン中は 伝統衣装のジュラバ を身にまとう方が増えるので、思わず口に出してしまい周囲は爆笑で、そこから毎朝「今日の服装はどう?」と、まーみんによるセクシーチェック が始まりました。
(ほんまに乙女なモロッコマダム。私にはいつも以上にみんながおしゃれに見えたんよ笑)

泣きたくなっちゃう

ある日、同僚宅からの帰りに 白い大きなテント が気になり、後に訪ねてみるとラマダン期間中に無償で食事提供をするスカウト団体でした。
このエピソードは 懐かしい初投稿:モロッコに憧れる日本人 を読み返してみてください。
毎晩私は 月の満ち欠け ばかり観ていましたが、ラマダンの終盤になると「終わってほしくない!」と涙する子 さえいてとても衝撃を受けました。

ラマダンは 心にも身体にも健康に良い そうです。(※ムスリムの方々曰く)
それでも開始3日くらいは 断食プロフェッショナル な現地の方々も辛いらしく、子どもたちは個々の成長に応じて思春期頃までに数日ずつの練習を重ねて慣らしていきます。
もし寝坊をして日の出の前に食事を摂れなければしんどそうですし、毎年少しずつ時期がずれていくので夏場のラマダンは過酷だと思います。

日中エネルギー消費を抑えながら過ごし、三食を夜間に摂るためか、1日の最後のお祈りの後は サッカーで身体を動かしたり町を散歩したり 深夜遅くも町中が賑わいます。
任地ではモスクから流れるお祈りの声が心なしか普段より大きく聞こえたり、空砲とサイレンが毎日鳴り響いたり、礼拝にこそ行きませんが特に夜の生活が大きく変わるので、こちらの文化の イナス(お昼寝)の大切さが身に染みました。
(「全員授乳中のママみたい!」と言ったら同僚に笑われました、でもほんまにいきなり真似できるものではない)

しかしながら実際に断食を体験し、礼拝時刻と日没の知らせ で 世界中のムスリム が祈りを捧げて同時に食事を摂り始めている と思うと、毎日その瞬間は とても神秘的 に感じられ強く印象に残るひと月でした。
さぁ、まもなく訪れる おそらく人生最後のラマダン、週末度隊員の私も 任地で 楽しく過ごしたいと思います。
(あれ?と気がついた方はさすがです。そう、昨年は大量に空き缶が出ることはなく自宅の押し入れに仕舞い込んだ箱がそのまま残った衝撃の結末でした)

ビスラーマ ٩( ᐛ )و

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